主人公の成長の証あり・・・「マーリンⅢ 伝説の炎の竜」


伝説の炎の竜 (マーリン 3)

伝説の炎の竜 (マーリン 3)


マーリン3巻。読み終えました。じつは明日が図書館の貸し出し期限で、おまけに私のあとにも予約者が少なくとも3人はいるらしい?とのことに気づいてしまって。
これはいけない、とあわてて読み、ほぼ一日で読み終わりました。


でもこれは前にもまして面白かったです。
何より先を読みたいという気にさせてくれました。だから一日で読めたわけで。

前の巻までは、大体予定通り進んでいく、という感じだったのが、この巻ではストーリーの予想がつかない感じがしました。だからなんでしょうか。


「フィンカイラのもっとも暗い日に、ふたたびバルディアグがめざめる」という予言の言葉、それが現実になってしまった日。
というのが、マーリンが初めて魔術師としての力を問われる試験というか試みというか… それが行われていた時だったのです。
魔術師になるものはみな、魔法の楽器サテルリーというものを自らの手で作り、それをうまく鳴らせることで魔法の力を問うものだとか。
優れた魔術師は手をつかわずに楽器を鳴らせることもできるとか。


その試みをしている最中に、それが起きる。
地下王国の主人、ドワーフの女王ウルナルダがマーリンに、かつて約束した通り自分を助けにきてほしいとの要請が。
そしてそのためにマーリンの力の証である楽器が燃え尽きてしまう。

その要請とは、子を殺されて怒り狂う竜がめざめて、あたりの土地をすべて焼き払うべくやってくるとのこと。
マーリンに竜をたおすための助力を頼んできたのでした。


マーリンの周りの人物…リア、エレン、詩人のケアプレは彼を止めようとするのですが。
やがてそんな彼らに恐ろしい影が襲い掛かってくる。
それが魔法の力を食らいつくすといわれるクリリックスという生物。


これは魔術師の力を察知すると飛んできて、その力をうばおうとするもの。おまけに、牙が触れただけで触れられた魔法生物は一瞬で死んでしまうとかいうおそろしいものでした。
マーリンはその危険な生物を怖れながらも、新たな冒険の旅にでるのですが…


以前のマーリンはどちらかというと、何かうまく行きすぎのように思ってしまうほど、うまいこと魔法を使い、事件を解決してきてしまうのですが、今回はちょっと違うようでした。
自分の魔法の力がなくなってしまったのではないか、もう魔術師の資格なんてないんじゃないのか?という疑問がつねにあって、そこのところで興味を持続させることができたんじゃないかな、と思います。


また新たに登場した鹿人族というのが印象に残っています。
人間からシカに変身するシーンが自然に描かれていて、よかったです。
この鹿人族の兄妹と出会うことで、マーリンが一皮向けるよい結果を生んだのでは?と思います。


もうマーリンには、次から次へと試練が訪れるワケですが、そのおかげがあって、スピード感があり、テンポのよいストーリー運びになっていたのではないでしょうか。

竜や鹿人族のような、人間以外の存在とのかかわり方も良い感じでした。


ただ、ちょっとだけ引っかかったのは、マーリンの父親の記憶。
いったいいつあんなに具体的に思い出していたんだろう? かつての乗馬だった馬も登場したりして、何か微笑ましい感じがしてしまってます。父との記憶・・・


1巻のエムリスがまるで別人かと思ってしまうところとか?
マーリンと呼ばれるようになってからのほうが、いい感じが出てきました。
14歳にもなったし、その成長の証がみられたということなのでしょうか。


4巻は10月に出るらしいので、あまり期待はせずに待とうと思います。