エルデスト 宿命の赤き翼


エルデスト 宿命の赤き翼(上) (ドラゴンライダー (2))

エルデスト 宿命の赤き翼(上) (ドラゴンライダー (2))

ドラゴンライダー2 エルデスト 宿命の赤き翼(下) (ドラゴンライダー (2))

ドラゴンライダー2 エルデスト 宿命の赤き翼(下) (ドラゴンライダー (2))


待ちに待った、ドラゴンライダー2巻です。上下巻ということで、前巻以上に長い!と覚悟を決めて読み出しましたが、思ったよりは早く読み終えました。それでも一冊3日はかかってますけど。


とにかくテンポが早くって・・・、場面が次々と入れ替わることで読者の興味をひきつけることができたのではないか、と思います。
しかしさすがに最初のほうは前の話を忘れてしまっていて、思い出すのに苦労しました。つづけて読めばもっと楽しめたでしょうね。


1巻でヴァーデン軍に加わったエラゴン… 今回は魔法の修業のためサフィラとともにエルフの都エレズメーラへといくことになります。
その地で出会ったライダー、オロミスを師匠にエラゴンは、挫折をくりかえしながらも必死でエルフの魔法を学ぼうとしていく。その姿勢に好感がもてました。
魔法についての考え方や、エルフの都の描かれ方、女王イズランザディやその他のエルフたちの描写などとても興味深く、参考になりました。
本当に物語の背景(歴史や言語など)も事細かに考えられており、感心することしきり、でした。若き作者にもう脱帽!でした。


けれど正直いうと、エルフやドワーフについてはやはり既存のもの。つまり指輪物語ですね、その影響下を離れられないのなのかなあ、と思ってその点だけちょっとひっかかりはありました。
エルフの住む館が生きている木で出来ているところなんかは、最前に読んだファーシーア一族の話を思い出したりして。これはきっと偶然でしょうけど、あちらにも似たようなものがあったのです。
エルフの女王が自分は民のためにあるものだという、犠牲の精神なんかも似ていました。これはファンタジーとしてはよくある設定なんでしょうね。


そんなことがあっても5点をつけてしまったのは、やはり物語のスピード感と、下巻の後半部分、・・・いよいよヴァーデン軍と帝国軍とがぶつかり、そこに修業途中のエラゴンが加わっていく場面など・・・、その盛り上がりによるものでしょう。ラストで初めて明かされる衝撃の事実!なんてものもありましたしね。でもま、これに関しては、ちょっとやっぱりねぇ、そうじゃないかと思ってたんだよ、ってところはありましたが。
衝撃は衝撃だけどよくあることだったよなあ、なんて。


そして今回はエラゴンの視点に加わって、従兄のローランの視点の物語が加わったことが大きかったです。
どちらかというと修業ばかりで動きの少なかったエラゴンパートを、大きな運命のうねりとともに次々と思い切った行動を起こしていくローランのパートがうまく補ってくれていました。
私はトールキンばりの魔法だのエルフだのいう世界よりも、こちらのただの人間ローランの物語のほうがより光ってみえた、と思いました。
ちょっと言い過ぎかもしれないけれど、正直な感想です。


あと本の装丁ですが、今回もカバー裏に工夫があって、左右のカバー袖部分の裏側にアラゲイジアの古代語や、ドワーフ語等の説明が載っていて面白かったです。図書館で借りたのですが、この部分だけ貼り付けずに見られるようになっていました。
表紙と裏表紙のうらがわはくっついているのでわからないのですが、1巻と同じように主人公たちの軌跡が描かれているのかな?本屋さんで確かめてみようと思います。


3巻はいつ出るのか・・・、また長いこと待たされそうな感じですが、楽しみに待っていようと思います。
エラゴンたちのその後と、気になるあの人のその後、それとまだ出てきてない人(重要人物、敵の最大の悪役ガルバトリックスって!?)などなど気になることはたくさん。
今後も目が離せそうにないですね。