氷上のアーティストたち

図書館で借りて読みました。2月のトリノ五輪の前に読めてよかったです。
フィギュアスケート・・・自分はできないけれど、見るのは楽しい。美しいし、大好きです。


この本を読んで、いま日本の若手のスケーターたちが、どんなにすごいのか見直しました。
まさに、タイトルどおり「氷上のアーティスト」です。


いつもテレビで観戦するときにはぼんやりと見ているだけでしたが、これを読むといろいろとわかってくる感じです。とくに新採点システムのことなど。
以前のものより、いい面もあるけれど、それだけに難しいものになってきたんだ、ということ。
以前は技術力と表現力という二つの面から評価されていた。その表現力で、ただ漠然と評価されていたものが、音楽や衣装、振り付け、演技力などなど細かな評価にわかれ、全体的なバランスにおいて優れた選手が上位にあがる模様。
へぇ〜、そうなんだっていう感じ。
今後、テレビで試合を観戦する場合、役に立ちそう。


選手ごとの顔が見えてくるのも、よかった。スケートに対して、それぞれどんな考えをもっているのか、わかってよかったと思います。
当然でしょうが、一人一人の選手がみな違う。それぞれ違った持ち味で、素晴らしい世界を体現しているのではないでしょうか。


昔とは違って、ずいぶんスケートの層が厚くなってきた日本。
それは下から上まで・・・スケートが好きな人はプロ、アマ、一般と、たくさんいる。
けれど・・・いまの日本のスケートに関する環境はいいとは言いがたい。
どんどん閉鎖されていくスケート場。遠い場所まで出かけていって、他の選手や時には一般の人に混じって練習しなければならないこともある。


大変なんだなあ、としみじみ思いました。もっとスケート場が増えてくれればいいのだろうけど。いろいろ難しいのでしょう。お金かかりますもんね。

著者の八木沼さんは、もっとスケートを身近に感じられるような環境であってほしいと書かれています。
確かに、自分の町の近くにもスケート場なんてありません。
自分の学校時代をふりかえってみても、スケートなんて小学校の頃にスケート教室なるものにたった一回いった経験があるだけです。
しかも散々な結果だった。壁につかまって氷に立っているだけで・・・歩くことすら、ままならない(笑)。その後、中学でいったスキーの方がまだ立っていられるだけマシだと思ったくらいでした。

私にとって氷の上は、恐怖でした。とても滑って楽しい、なんて思えるはずもなかった。
だいたい、あんなうすーい刃の上にブーツが乗っかっているだけのシロモノを履いて立つなんて!信じられませんでした。


それだけに、その氷の上で華麗な演技をこなすスケーターたち。すごいです、感動的ですよね。

八木沼さんも、ここに書かれた選手の方たちも、みんなスケートが大好きで、生活と密着したものであるんですね。
なくてはならないもの。

そんなふうに思えるなんて、素敵ですね! 私は見てるだけで満足ですが。
これからの若い世代に、そういう人たちがきっともっともっと増えていきそうな気がします。手軽に楽しめるスポーツであってほしい、という愛好者の方の願い。
わかる気もします。寒い地方(北海道とか)だったら、まだありそうな気がするけど、たとえば学校の体育の時間にスケートの時間があったりしてもいいんじゃないか?
そんな気はするけど、実際問題として無理かな。


でもいちどはアイス・ショーとかを見てみたい気はします。機会があったら・・・
生であの華やかな世界を覗きみてみたい。


八木沼純子さんたちの願いが、いつか叶えられるとよいなと思います。


*読みながら、昔、大好きだったスケート漫画を思い出していました。「銀色のフラッシュ」…なんてみなさんご存知ないでしょ。