「七王国の玉座」ジョージ・R・R・マーティン

七王国の玉座〈上〉―氷と炎の歌〈1〉 (氷と炎の歌 (1))

七王国の玉座〈上〉―氷と炎の歌〈1〉 (氷と炎の歌 (1))

七王国の玉座〈下〉―氷と炎の歌〈1〉 (氷と炎の歌 (1))

七王国の玉座〈下〉―氷と炎の歌〈1〉 (氷と炎の歌 (1))

このシリーズを新刊で買っていながら、今までずっと積んでいました。実に勿体無いことをしていまいました。
深く、深く後悔した私です。
分厚い本だから、と躊躇していたんですね。でも読み始めてみれば、すぐにこの世界に溶け込んでいました。
学生の頃からFT小説を読み続けていた私にとっては、実に実に親しい世界でした。登場人物の多さも大丈夫でした。
とくにメモを取ることもなく、自然に読み進められました。

とはいえ、この物語はファンタジーというよりは歴史小説、群像ロマン小説のように思えます。魔法っぽいものも、ラストにいくと少しは出てきますが、今の時点ではそれは味付け程度。


何より、ここに描かれた人々の運命の変転に心惹かれます。
その主要な人物、スターク家の人々(エダード公、ケイトリンとその子どもたちロブ、ブラン、サンサ、アリア、エダード公の私生児ジョン)、これにラニスター家のティリオン、古代王朝ターガリオン家の末裔、プリンセス・デーナリス。
それぞれの視点による9つの物語が、ストーリーの流れとともに交互に描かれていきます。
1人の視点による物語でさえ大変なこともあるだろうに、これはお見事!と言わずにおれませんね。
それぞれの人物の性格とかちゃんと書き分けられているんですから。これは読者の好みによって、いろんなひいきの人物が出てくるでしょうね。


スターク家の子どもたちは言うに及ばず、なんですが、私はとくにターガリエン家末裔のデーナリス(ダニー)と、ラニスター家の小人と呼ばれているティリオンに興味を抱きました。それぞれ違った意味で、です。
ダニーの場合は、本来なら古代王朝の最後のひとりになるわけで、プリンセスとも呼ばれていたんですがそれはあくまで名目上のことで。本当の彼女は、臆病で引っ込み思案の少女だった。なのに、それが草原の騎馬一族の族長カール・ドロゴの妻として娶られることになってしまって。
たった十三歳という幼さの残る少女だったのに、それがあれこれあって、立派な族長の妻として成長していく。最後に彼女に訪れた結末。あれはちょっとぐっときてしまいました。
今後、どうなるのか?興味津々です。


一方、ティリオン・ラニスターの場合は…。
彼は身体の成長が途中で止まってしまって、大きな不恰好な頭に短い手足と、小人を思わせる体型の人物。
でもその実、彼はけっこう知恵者だと思うんですよね。
機知に富んでもいるし、いろいろ政治的な駆け引きなども頭に入っているらしいが、時にはものすごい毒舌を吐いてしまって、そのために窮地に陥ることになってしまったり。
スターク家とは敵同士になってしまっているけれど、彼は本来平和主義で、家同士の戦いに巻き込まれてしまって今はそれで仕方なく戦争に関わってしまっている。こんな自分でもラニスター家の一員なんだから、しょうがない。
ぼやいている彼の顔がうかびそうで、何とも微笑ましい感じを覚えました。


そのほかにも感想はいろいろ…。諸悪の根源?ラニスター家!とかね。憎っくきプリンス(今は王だ)の今後も、どうなんでしょうね?気にかかりますね、逆の意味で。
サンサちゃんも何とか逃げて欲しいけれど。
「壁」の向こうの、北にいるという、異形の何か・・・も、一体何なんでしょうね。
まるでエイリアンのようですが。この辺はSF的かな。


引き続き、続編を読み始めています。新刊も出たのでしっかりゲットしてあります。『剣嵐の大地』2巻、今日到着しました。早く追いつきたいです。