「黄昏の百合の骨」恩田陸

黄昏の百合の骨 (Mephisto Club)

黄昏の百合の骨 (Mephisto Club)

一言。これぞ恩田陸の世界〜!! 
本書はまさにこの一言に尽きます。『三月は深き紅の淵を』の理瀬シリーズ。
亡き祖母の奇妙な遺言に従い、「魔女の館」と噂される洋館にやってきた理瀬・・・・これだけでもう、何事が起こるのか?いろいろ妄想をたくましくさせてしまいそうですが。
実際のところは、もっとでした。
祖母の遺言の意味が明らかになるまでは、謎また謎の展開で。いったいだれが悪者か善人か全く検討もつかないんです。

少女、百合の花、洋館、魔女、黄昏・・・

これらのキーワードを見るだけで、ぞくぞくっときてしまいます。
妙に少女漫画的なキャラクター設定も然り。恩田陸の魅力をひきたててくれますね。

闇に属すものたちと光の世界に生きるものたちと・・・  よりどちらに惹かれるか、それによって生きる道すら変わってしまう。
亘が理瀬の側に行きたくて、でも結局行けなくて、去っていくすがたが印象に残りました。
一抹の寂寥感。

自分はどっち側なのかな?とちょっと考えてしまいました。


これを読むときには出来れば前作とか読み返してから読んだほうが、よりじんわりくるかもしれません。
今回、私は時間がなくて省略しましたが。またいつか続けて読んでみたいシリーズです。