「花火師リーラと火の魔王」フィリップ・プルマン★★★★

花火師リーラと火の魔王 (ポプラ・ウイング・ブックス)

花火師リーラと火の魔王 (ポプラ・ウイング・ブックス)

ひとりで一人前の花火師になって、おとうさんを負かしてやる。見てて! リーラは花火師の資格をえるため、家をとびだして魔王ラズバニの住むメラピ山を目指しましたが…。ユーモアあふれる元気いっぱいの冒険物語。

…というお話です。解説を読むと、「黄金の羅針盤」と同時期に出版されたそうです。
あちらは重厚なファンタジー作品、こちらはコミカルな冒険物語、とさすがプルマンさん幅が広いですね〜

元気いっぱいな主人公リーラも、花火師という自分の仕事に誇りをもつ、頑固一徹な職人気質なお父さんのラルチャンドも、
王さまの白いゾウの世話をしながらも、いつかゾウのハムレット(!)といっしょに逃げ出そうと計画を立てている、王さまの召使いのチュラクも!
みんなみんな魅力あふれるキャラクターです。


そして、何といっても一番のヒット(!)爆笑ものなのが、ランバシとその一党です〜
リーラが冒険の途中、川タクシー会社の親分と手下たち、という形で出会うんですが、
これがまたおかしい。
飼っていたニワトリがふさぎの病で死んでしまったので、しかたなく商売がえをしてボートを買って、タクシー会社を始めたのですが、その時々によってはそれは「血まみれ殺人鬼号」になる…というんですよね。
けれど、ボートをこぐのも一苦労〜なユーモラスな彼らのこと。
リーラも思わず笑ってしまったほどでした。
結局、もやっていたボートが流されていってしまい…
彼らはやむなくまた商売がえをすることになるんですが。
その転職がまたおもしろい。ジャングル・グリルという飲食業〜彼らのやりとりを見ているだけでそれだけで笑ってしまいます。
そして最後には…なんとランバシとメロディボーイズですよ(^^ゞ 『さいごのマンゴーはわたしにとっといて』って選曲に笑いましたよ、ホントに。


ストーリーにも触れなければなりませんね。
花火師になるため必要なもの高貴硫黄を魔王から手に入れるため、メラピ山を目指すリーラですが、その途中途中ではさまれるさまざまな冒険で、苦難に打ち勝とうとするリーラには感心するばかりです。
ひたすら自分の目的に向けてつっぱしる、というふうで。
「天からあたえられた三つの贈り物」というのも、
花火師という職業に限らず、どんなことにも通用しそうな条件で。ああまさにその通りだなあ〜と思いました。
解説に書かれていた、「リアリストなプルマン」というのも
何となく納得できるところです。


ページ数としては120頁程度ということで、薄い本ではありますが内容的には読んで損はない、いいえ読まなきゃ損だよ、という本です。
挿絵も可愛くてとても好きです。とくに裏表紙のランバシ一党が(^^ゞ


*本プロ レスより*

ときわ姫 > この本、本屋さんで少し立ち読みをして、すごくおもしろそうだからとメモして帰ったはずなのに、今「気になる本のノート」を見たら書いてありませんでした。あれっ?あのメモどうしちゃったんでしょう?すぐにこれをメモしました。北原杏子さんありがとう。 (2003/09/08 09:18)
北原杏子 > お役に立てて何より、です(^^)
ときわ姫さんの感想が楽しみです♪ (2003/09/09 23:59)