映画「宇宙戦争」

スピルバーグ監督、主演トム・クルーズ


観てきました。H・G・ウェルズの原作、私は読んだことがないんですけど。
旦那は子どものころ、読んだと言ってました。しかし作者をジュール・ヴェルヌと言って
おりました。この2人をさして“SFの始祖”と称するそうですから、間違えたのもさもありなん、ですが。


さて、映画は・・・ 緊迫感がありました。もう締め付けられるような緊張と、
身が凍りつきそうなほどの恐怖感、びしびしと来ました。


トム・クルーズ演じる主人公レイはごく普通のお父さん。離婚した妻が現在の夫と2人の
子どもを連れて父親に会わせるためにくるところから話ははじまっています。
子どもたちにあまり信用が得られていない、父親としてはちょっと・・・というところが
垣間見えていました。


それが突然の雷雲とともに、訪れたモノ・・・。宇宙からの侵略者によって、その現実が
狂わされていくのです。
レイは子ども2人を引きつれ、混乱をきわめる町々を逃げ惑います。
その過程がとっても怖い。
宇宙人が攻めてくる、という設定がいかに荒唐無稽なものであっても、逃げ惑う家族の
姿は現実そのもの。主人公が私たちと同じ、ごく普通の市民であること、それが効いている
と思うんです。
よくあるような侵略ものでありがちな、政府を代表する者たちや、軍の司令官たちが集まって
組織を指揮するような、そんなシーンは一個もありません。


それだけによりリアルで、身に迫る恐怖を感じずにはいられないのでしょう。


パンフレットにも、スピルバーグ監督の言葉で、司令官たちが地図を前に集まっていたり、
有名な建造物が破壊されるシーンは入れない、といったものもありました。
なるほど、と思いました。


まさしく、これはSFという枠を借りた、家族愛を描いた作品だったのでしょう。
残酷な場面はありますけれど、SF映画によくある光景、戦闘シーンや宇宙人との対決の
様子などが少ないので、そういうものを映画に期待する人はたぶん面白くは感じられないのでしょうね。
事実、うちの旦那はそうでした。
脇役として起こった事態(宇宙人の侵略)をただ逃げ惑うことでしか、描いてないと言って。


確かにそうかもしれません。
主人公がただ受身で、逃げるだけという印象が強いのかもしれません。
でも私が思うに、普通の市民レベルの者だったらああいうふうにならざるを得ないんじゃないでしょうか。

かっこいい戦闘モノじゃなく、現実に起こりえる事態として、人間として父として
親として、子どもを家族を守る、ということ。
それを越えるものはないんじゃないかな、と思いました。


9.11の同時多発テロを示唆するようなものも、映画中に見られました。
侵略者による破壊のようす、町を逃げ惑う人びと、パニックに陥り暴徒と化す人びと、
そして行方不明者の安否を問う掲示板の存在など・・・


宇宙人の侵略ということじゃなくって、現実的にもありえることなんだな、と思います。
それが恐怖となってあらわれたのかもしれません。


原作とはストーリー等は全く違うと思いますが、根本的なところはどうなのでしょうか。
実際に小説を読んで、どんなふうなのか見てみたいと思います。