息をつく暇もない、エンターティメント「デセプション・ポイント」


デセプション・ポイント 上

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デセプション・ポイント 下

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やっとこれを読めました。
ダン・ブラウン・・・さすがおもしろかったです。もう満腹いたしました。


これはダン・ブラウン三作目の作品で、「天使と悪魔」の次に書かれたものだそうです。
日本では出版が前後してますが、「ダ・ヴィンチ・コード」より先に書かれたものなんですね。
私はそちらは未読ですが、これも十分手ごたえがありました。


ダン・ブラウンといえば、うんちくのおもしろさということに定評があるようで。今回は、米国のNASAとかNROとか、大統領選挙といか、宇宙科学だとか、まぁいろいろ…。
まあひとことでいえば、アメリカってすごい国なんだなあと実感しました。ここに出てくる武器とか飛行機、ロケットの類の技術、もしこれが本当だったのなら!すごいことですよね。


NRO(国家偵察局)で、ホワイトハウス向けの機密情報の分析する仕事に就いていたレイチェルはある日、直接に大統領に呼び出される。何とNASAがある大発見をしたので事実を確かめてきてほしいというのだった。レイチェルは大統領の言葉にしたがい、北極へと向かう戦闘機に乗り込むのだったが…


という冒頭から、話ははじまります。
そこからはもうジェットコースターに乗ったかのように、あっちへいったかと思えばこっちへいくという、二転三転どころじゃない十回転以上してる!?そのくらいすごい大展開が待ってます。
本当はもっと突っ込んだ話をしてみたいのですけど、言いたくてもこれは言えませんね。
読んでいただくほかないという・・・


話もおもしろいけれど、登場人物もけっこう個性が際立っている感じでよかったです。
主人公のレイチェルは転んでも転んでも起き上がるという、強さをもった魅力的な女性でしょう。
そのまわりに登場してきた科学者たち(マイクやコーキーその他大勢さん)もそれぞれ魅力ありました。


レイチェルの父セクストンは、最初のところを読んだ限りじゃ、こんなに嫌な腐りきった人物とは思ってもみませんでした。俗な人間だったのですね。自分のパソコンに大統領とか入れてスクリーンセイバーにしてるのとか笑えますね。


その秘書ガブリエールはレイチェルと二分するほどの魅力あり。もうこの話は、この女性ふたりが主人公といっても差し支えないでしょう。
それほど目立っていました。


この作品もごく短い章ごとに人物や場所が変わるという手法をとっており、次々と視点がめまぐるしく変わって、いちいちこの次どーなるの?と読者は息つく暇もなく先のページを繰ることになります。
そういう意味でも映画的、ですね。視覚効果もバツグンです。
これもきっと映画にしたらいいでしょうね。


謎の隕石の真偽をめぐって、レイチェルたちがああでもない、こうでもないと思案をこらして、やっと真相にたどりついたときはもう拍手するしかない!って感じでしたね。
そして宇宙や海洋に関する知識の列挙には、感服しました。これでもかこれでもか、ときます。
ちょっとだけ賢くなった気分を味あわせてくれます。知的興奮とでもいうんでしょーかね。


事件の真相もだけれど、謎の黒幕・・・指揮官の正体。私は素直に驚きました。まさか、って感じ。ミステリーにおけるミス・リードってやつですね。まんまとだまされました。
大統領のハーニーは最初から最後まで好印象でした。あんな人は現実にはいそうもない気もしますけど。
ラスト、エピローグもいい感じで終わってくれました。ほーんと映画にしたら、とっても絵になりそうなんですけど。
エピローグ前の、ヒロインとヒーローのあれこれも、映画の一コマによくある場面。
終わりよければすべてよし、っていうところでしょうね。


さて、つぎはいよいよ「ダ・ヴィンチ・コード」いってみますか・・・
図書館で借りられたら、の話ですが。