ファンタージエン 秘密の図書館


ファンタージエン 秘密の図書館

ファンタージエン 秘密の図書館


かつてエンデの「はてしない物語」の愛読者だった若い作家たちが、いま21世紀にふたたび新たな内なる世界をよみがえらせました。


それが、この「ファンタージエン 秘密の図書館」からはじまる一連のシリーズです。
本作を書いたドイツのファンタジー作家、ラルフ・イーザウはじめ、ミステリー作家、歴史小説家など6人の作家がかかわり、次々と新しい本の世界を編み出しています。


その記念すべき一作目である本作は、「はてしない物語」の前史として物語が描かれています。「はてしない物語」の冒頭にでてきて、バスチアンに「はてしない物語」の本を引き渡す結果となった、古本屋の主人カール・コンラート・コレアンダーさん・・・彼がこの物語の主人公となって冒険の旅にでかけていくのです。
ファンタージエンにある秘密の図書館の本に迫った危機を払いのけるために・・・それは本の喪失とともにその場をしめていく虚無との闘いでした。


これだけ読んでも冒険物語として、十分楽しめると思いますが、私はやはり本家おおもとの「はてしない物語」読了後に読まれたほうがより、物語の世界を楽しめるのではないか?と思います。


ストーリーそのものもですが、この話には「はてしない物語」にでてきたいろいろな物の由来が描かれているのです。それどころか「はてしない物語」が生まれたいきさつも書かれています。他は、バスチアンが「シカンダ」という名をつけた魔法の剣や、姿を見えなくする「ゲマルの帯」等など…
はてしない物語」を知ってから読むと、これらの事物がどういうふうに働くのかわかって、とても面白く感じられるはずです。


ですから、もしもファンタージエンの物語がお初の方がいらしたら、エンデの「はてしない物語」を先にお読みください、と私は言いたいです。
私もあちらを先に読んでいてよかった、です。面倒くさがらずに読んでおいたおかげで、この物語を楽しんで読むことができました。


イーザウの語り口は、もちろんエンデのものとは全く違いますが、ストーリーもよく考えられていて、なるほどなぁ〜と納得させられてしまいました。
しかし、「はてしない物語」に出てくるあの人物が、あのひとの○○さんだったとは?これは全く予想外でした。


自分的には、もちろんエンデの物語を超えることはないとは思いますが、エンデへのオマージュ作品としてなら十分読める内容だとは思いました。
同じ作者の「パーラ」という作品にもエンデへのオマージュとして書かれたものだそうです。こちらもいつか読んでみようかと思います。