男の子って…「サンタ・クルスへの長い旅」
- 作者: ミヒャエル・エンデ,レギーナ・ケーン,Michael Ende,ささきたづこ
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1993/04/27
- メディア: 単行本
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男の子って、たぶんこういうことあるんだろうなぁ…! もしも女の子だったらこうはいかないんじゃないか。と、そんな感想を抱いた絵本でした。
絵本…というか、ちょっと長めのお話という感じでしたが。
月曜日ってだいたい、憂鬱なもの。大人だってそれは変わらないけれど、子どもにとってみればもっと!でしょう。
月曜になったら学校へ行かなきゃならない、という…なんともいえないプレッシャー。
私も学校時代には、日曜の夜サザエさんや名作アニメ劇場を見終わる頃にはとたんに憂鬱になったもんでした。
この絵本にでてくるヘルマン少年も同じです。
ただでさえ憂鬱な月曜日なのに、おまけにその日は冷たい雨がそぼふる日だったのでした。
これじゃ学校へ行きたくないっていう気持ちもわかりますよね。
ま、普通ならあきらめて学校へ・・・ってことになるんですけど、ヘルマン少年の場合はちょっと違いました。
学校へ行かなくてもすむ言い訳を、さまざまな理屈をつけていろいろ考えてみるのです。
まず今日は本当に月曜日なのかどうか? もしかして昔のカレンダーを考えた人が一日数え違っていたかもしれないじゃないか、と。
そしたら今日は日曜日だから、学校へ行かなくてもすむ。
だけどもしかして、そうじゃなくって二度数え間違いしていたのだったら?
ヘルマン少年の想像はそこからさらにヒートアップしていくのです。
消防車が通ったら、もしかして学校が火事になったのかも?って思ったり、サーカスの団員らしい人が大蛇に蒔かれた女の人の看板をぶらさげて歩いていれば、もしかして蛇が逃げ出したのかもって思ったり、もし赤ん坊のいる家へしのびこんでいたらどうしよう、とかいろいろ、いろいろ考えるわけです。
こうなると、もう想像力ってすごいよね、って声をかけてあげたくなるくらい。
ちょっとした物事に敏感に反応して、これはもしかしてこういうことじゃないか、だったら自分はどうしたらいいんだろう?と。
本当によく考えるものですね。
そうしてヘルマン少年は知らない街を一日ほっつき歩いて、やっと学校についたら、当然ながらもうおしまいになっていた。今度はほんとに具合が悪くなって、ボロボロの状態で家にもどってみれば。
そこには、朝でかけた時とは全く違う家族のすがたが。
お父さんとの対話がよかったです。
「サンタ・クルスへの長い旅」…長い、長い旅をしてたどりついたのは、からっぽの町だった、って。
何の役にも立たないような旅だったけど。
それでも男の子って、そういう旅を一度はしてみるものなのかもしれません。
あの「はてしない物語」のバスチアン少年のように…。
添えられた絵もよかったです。いたずらっ子らしいヘルマン少年のささやかな冒険を楽しく描いています。