セレクトが素晴らしい!! 「12歳からの読書案内」

12歳からの読書案内

12歳からの読書案内

金原瑞人さんが監修、ということで図書館で借りて読みました。12歳というと、小学6年生〜、ということになりますが、ここに集められた本のセレクトはすごかったです。子どものためのもの、というか、ほとんど大人向けの本といってもいいでしょう。
いや最近のヤングアダルトの傾向って、そうじゃないのかな? 大人が若い頃のことを懐かしく読む、っていうノリ。もちろん現役中高生の、思春期真っ盛りの人が読むのが本当なんでしょうけど。


まだ大人じゃないけど、子どもでもない年齢。難しいですよね。
そんな子どもたちへ向けて、またこの年齢の子どもを持つ親御さんに向けて、このガイド本は書かれています。


ちょうど全部で100冊。それぞれ9章に分け、「希望」がわいてくる本、「勇気」があふれてくる本、「コミュニケーション」の大切さに気づく本、「情感」が豊かになる本、「いのち」の重みに気づく本、「冒険」の楽しさを味わう本、「想像力」がふくらむ本、「好奇心」を刺激する本、「豊かな言葉」に出会える本・・・

と、こんなふうにその本の傾向によって分けています。

児童書もあれば、ライトノベルもある、果ては哲学、短歌、雑学と、何でもござれ〜の世界。これだけ主々雑多なセレクトだったら、選ぶほうになってみれば、いろんな分野から自分好みの本を探すことができて、すごく便利、かもしれない。


有名どころの作家もあれば、一般には知られていないような作家もあり、様々でした。

あさのあつこ片川優子岩瀬成子北野勇作、村中季衣、みおちづる、芝田勝茂(本では紫田となってました、間違いです)、乙一秋山瑞人桐野夏生角田光代佐藤多佳子嶽本野ばら森絵都綿矢りさ金原ひとみ三浦しをん酒井駒子長新太五味太郎佐野洋子雪乃紗衣荻原規子松原秀行、西尾維新高殿円梨木香歩石堂藍、etc.……


名まえをあげていったら、あらためてすごい!と思いました。これはふつうのセレクトじゃない、吟味に吟味を重ねて作られたものだと確信しました。


私がいいな、と思ったのは、短歌に関する本の紹介でした。普段から詩集とか短歌集って、あまり読もうとしてこなかったから。紹介された詩や短歌をみてると、なかなかいいものがありました。短歌というと、堅苦しく考えてしまうけれど、もっと身近なものだったんですね。


金原瑞人さんを筆頭に、作家、歌人、批評家、編集者、図書館司書、大学院生、学生と選ぶ人がバラエティに富んでいたことも、成功の秘訣だったかもしれない。
人によって、考え方も性格も違っていて、その違いを楽しむのが面白かったです。

そしてみんな、やはり本が好き、なんですよね。紹介文の文面から、それがあふれでていました。


金原さんの読書体験記が、コラムで書かれているのも面白かったです。
男の子って、小学校時代には本なんて全然、読まないものなんだって。そして中学で突然、本との出会いがくる。だから児童書には縁がない、と。

児童書の翻訳家として有名な金原さんですが、意外でした。

でもそれを読んで、ちょっとだけホッとした私。うちの男の子(小2)も全く本を読まない子なので。まだまだこれから、ですよね。