セレクトが素晴らしい!! 「12歳からの読書案内」
- 作者: 金原瑞人
- 出版社/メーカー: すばる舎
- 発売日: 2005/12/19
- メディア: 単行本
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金原瑞人さんが監修、ということで図書館で借りて読みました。12歳というと、小学6年生〜、ということになりますが、ここに集められた本のセレクトはすごかったです。子どものためのもの、というか、ほとんど大人向けの本といってもいいでしょう。
いや最近のヤングアダルトの傾向って、そうじゃないのかな? 大人が若い頃のことを懐かしく読む、っていうノリ。もちろん現役中高生の、思春期真っ盛りの人が読むのが本当なんでしょうけど。
まだ大人じゃないけど、子どもでもない年齢。難しいですよね。
そんな子どもたちへ向けて、またこの年齢の子どもを持つ親御さんに向けて、このガイド本は書かれています。
ちょうど全部で100冊。それぞれ9章に分け、「希望」がわいてくる本、「勇気」があふれてくる本、「コミュニケーション」の大切さに気づく本、「情感」が豊かになる本、「いのち」の重みに気づく本、「冒険」の楽しさを味わう本、「想像力」がふくらむ本、「好奇心」を刺激する本、「豊かな言葉」に出会える本・・・
と、こんなふうにその本の傾向によって分けています。
児童書もあれば、ライトノベルもある、果ては哲学、短歌、雑学と、何でもござれ〜の世界。これだけ主々雑多なセレクトだったら、選ぶほうになってみれば、いろんな分野から自分好みの本を探すことができて、すごく便利、かもしれない。
有名どころの作家もあれば、一般には知られていないような作家もあり、様々でした。
あさのあつこ、片川優子、岩瀬成子、北野勇作、村中季衣、みおちづる、芝田勝茂(本では紫田となってました、間違いです)、乙一、秋山瑞人、桐野夏生、角田光代、佐藤多佳子、嶽本野ばら、森絵都、綿矢りさ、金原ひとみ、三浦しをん、酒井駒子、長新太、五味太郎、佐野洋子、雪乃紗衣、荻原規子、松原秀行、西尾維新、高殿円、梨木香歩、石堂藍、etc.……
名まえをあげていったら、あらためてすごい!と思いました。これはふつうのセレクトじゃない、吟味に吟味を重ねて作られたものだと確信しました。
私がいいな、と思ったのは、短歌に関する本の紹介でした。普段から詩集とか短歌集って、あまり読もうとしてこなかったから。紹介された詩や短歌をみてると、なかなかいいものがありました。短歌というと、堅苦しく考えてしまうけれど、もっと身近なものだったんですね。
金原瑞人さんを筆頭に、作家、歌人、批評家、編集者、図書館司書、大学院生、学生と選ぶ人がバラエティに富んでいたことも、成功の秘訣だったかもしれない。
人によって、考え方も性格も違っていて、その違いを楽しむのが面白かったです。
そしてみんな、やはり本が好き、なんですよね。紹介文の文面から、それがあふれでていました。
金原さんの読書体験記が、コラムで書かれているのも面白かったです。
男の子って、小学校時代には本なんて全然、読まないものなんだって。そして中学で突然、本との出会いがくる。だから児童書には縁がない、と。
児童書の翻訳家として有名な金原さんですが、意外でした。
でもそれを読んで、ちょっとだけホッとした私。うちの男の子(小2)も全く本を読まない子なので。まだまだこれから、ですよね。