「激走 福岡国際マラソン 42.195キロの謎」


本プロで最近、人気の高いこの作品。私も挑戦してみようか、と思って図書館で借りてきました。
でも、実は正直いって私はマラソン関係には全く関心がなかったのです。だから、勢いで借りてしまったものの、心の中ではどうしようかなあ!と思っていました。


読み始めも、何だかあまり興味がもてず、読めるかな?私には縁がなかったものとして、このまま読まずに返却してしまおうか、とさえ思いました。
ま、それもなんだし、返却日までにはまだ間があったので、タラタラとですが、読み続けました。


そうしたら、不思議なものです。だんだん話に乗っかっていけるようになりました。
気がついたとき、私は走り続けるマラソン選手たちといっしょに走るようなつもりになって、ページを繰っていました。


ラソンに関して何の予備知識もなかったせいで、面白く感じられた、ということもおそらくあるでしょう。
ただひたすら走っていくだけのように見えるけど、その底には大変なものがあるのだな、よくテレビのマラソン(や駅伝)中継などでドラマがどうこうという話を聞くけれど、そういうこともあながち嘘ではなかったのだな、と…。


最後までどうなるんだろう、だれがこのレースに勝つんだろう、そう思って読んできましたが・・・
その結果はなんとも予想外のものでした。てっきり、○○と思ってたのに。そうか、あの鈴はそういう意味があったのか!と目からウロコが落ちました。


あの選手の独白――最初、だれなのかわからなくて、途中でこの人なのかな?と思ってたのに。
実際は・・・だったんですね。


ラソンの話でどうしてミステリが書けるんだろう、と疑問でしたが、その疑問も解消されましたね。
ほんと謎が解けたときにはスッと胸がすく思いでした。


そしてものすごいドラマ、ですね。
最後まで呪文のように響いていたあの心の声――
最後まで走り続けるんだ、という決意をこめたあの声が私の頭のなかにまでひびいてくるような、そんな気がしました。


チリンチリン、と鳴り響きつづける鈴の音といっしょに。


初めて読んだ作家さんでしたが、好印象をうけました。これを機会に他の作品にも手をだしていきたいです。