先行上映行ってきました。「ナルニア国物語 第1章ライオンと魔女」

監督アンドリュー・アダムソン
キャスト:ウィリアム・モーズリーアナ・ポップルウェル、スキャンダー・ケインズ、ジョージー・ヘンリー


3/4の公開を前に、ひとあしお先に観てまいりました。

感想は・・・ひとことで言ってしまえば、ああ見てよかった!ナルニアの物語すべてのものがここに詰まっている、端から端までナルニアだった!・・・に尽きるでしょう。

これ以上ないほどの出来でした。配役も、ストーリーも、自然描写も、すべてにおいて素晴らしかったです。原作を読んで、私たちが想像していた以上のものがあったと思います。

以下、細かい所感など述べていきます。ネタバレ部分は反転表示しています。

ベベンシー兄妹の、4人の子どもたちは既成の子役などは廃して、完全にオーディションによって選ばれたそうです。そのせいか、イメージにぴったり。まず長男のピーター。いちばん上に生まれた者としての責任を果たそうと頑張ってる姿が印象的でした。
長女のスーザンは現実的で論理的、だけどいまいち踏ん切りに欠けるところあり。ナルニアに入っても信じることができず、たえず後ろを振り返っている感じでした。
次男エドマンドは物語における鍵になるような重要人物。
このエドマンドは、一見、意地悪で人の言うことをまともに聞けない男の子のように見えるけれど、本当は幼さゆえに自分の感情をうまくコントロールできていないように感じます。原作でも同じでしたが、映画ではさらに細かく描かれていました。原作では描かれていないようなところにまで踏み込んでありました。冒頭のシーンでのエドマンドのエピソードはそれを裏付けてくれます。
そして、次女のルーシー。最初にナルニアに足を踏み入れた彼女は兄、姉たちのだれよりもナルニアを愛し、アスランを強く信じていました。無垢な心のまま、ひたすら信じること。いちばん年下で幼い彼女ですが、強く頼もしく、運命を切り開いてゆける強さがある、そんな印象でした。

エドマンドをそそのかし、裏切らせる白い魔女はひたすら冷たく、氷のような存在。まるでアンデルセン雪の女王を連想させるような、美しさと強さと非情さをあわせもつ、大きな存在感で、多を圧倒していました。個人的にはこの映画最大の魅力だったのでは?と思います。

その他、タムナスさんはほんとにフォーンらしく、そして優しくて映画でまた大好きになったひとはこれから多くいるでしょうね。4人兄妹の疎開先の家の持ち主、大学教授の方はまるで原作者のルイスさんを彷彿とさせるような人物。子どもたちへの温かいまなざしがよかった。
家政婦のマクレディさんもいかにもな感じ。サンタクロースの人は、最初だれ?と思ってしまったけど。陽気なおじいさんでした。人以外のキャラクター・・・白い魔女の手下、オオカミのモーグリムはなんかかっこよかったな。私が観たのは日本語訳版でしたが。ピーターとの対決場面がよかった。
ビーバーの夫婦は原作以上にユーモラスで、楽しかった。兵士を集めていたキツネの声は池田秀一さんでした。こちらもちょい役なのに何故かかっこよかったです。美味しい役だったかも。

そしてそしてアスラン。もう貫禄たっぷりで、王さまの風格ばしばし、でした。石舞台での処刑のシーン、心に突き刺さります。あとで復活するのだとわかっていても、すがりつくスーザンとルーシーのふたりを見て、涙腺が…。泣きはしませんでしたけど。あの場面はよかった。クライマックスの戦闘シーンも迫力ありました。アスランと女王の対決が・・・

ナルニアの自然も素晴らしく、ため息がでるほどでした。最初の、冬のシーンでは心が凍りつきそうな、雪と氷の世界を現していました。それがあればこそ、のちの春のシーンの美しさが際立ったのだと思います。街灯あと野の、街灯も、ピーターたちが疎開した家の古式ゆかしい感じも、まるごとイギリス!って雰囲気でよかった。実際、行ったことはないのですが、それっぽいなあ、って感じですね。

あと細かいところですが、白い魔女の城の中庭で、エドマンドがやったちょっとしたいたずら。最後の、4人兄妹の戴冠式の場面で、生かされていました。これは原作を読んでいなければ、全く気づかないことでしょう。
式のあとで、ルーシーが遠ざかっていくアスランの後ろすがたを見つめる場面。ほんとにもう、美しかったですね。


それからそれから・・・。物語のラストで、王、女王になり、成長した4人兄妹がナルニアから現実世界に帰還するところ。よかった!喋り口調が、原作のあの奇妙な、王さま言葉じゃなくなってる!あのヘンな言葉で喋るルーシーたちには違和感を感じていたもので。よかったなあ、と感じた次第です。

4人兄妹の絆も、原作以上に強く感じました。いろいろなことがあったけれど、最後は兄妹として、家族として抱き合える、温かな関係。そしてそれは、4人のお母さんの存在もあったでしょう。そして映画には直接でてこなかったけど、戦争にいっているお父さんの存在も…。
アスランとの関係もそうだけど、この映画のテーマは言ってみれば、信じること、ということでしょう。
あのお母さんは、子どもたちのことを愛し、信じていたと思うんです。お父さんもきっとね。だからこそ、あの兄妹たちがいる。あの兄妹だから、ナルニアに呼ばれ、国を救う英雄となり、王の座にもついたんでしょう。

信じること、それ以上に強い力はない。そう語りかけてくるような気がします。助け合い、信じあう。なんて素晴らしいじゃありませんか。ルイスさんの意図したことはこれ、だったのかなあ、なんてね。原作はちょっとキリスト教色が強くて…という方も、この映画だったら、きっと受け入れられやすいのではないかな、と思います。もちろん出来たら、原作のほうも読んでほしいですけれど。

最後に。今回の映画は、第1章として、「ライオンと魔女」だったけれど、今後はどうなるのかな? ちらっと見聞きしたところによると、全3作になるそうだけど。
ナルニア国物語の、7冊ぜんぶはやらないのか。としたら、あと映画になるのはどことどこ? と、今からもう次回作に期待が高まってる私です。
カスピアン王子の話ははずせない感じがするし、東の海へいった話も捨てがたい。もちろん「さいごの戦い」は絶対に外せないでしょうしね。いちばんなさそうなのが「馬と少年」かな?「銀のいす」もないかな?
となると、結論としては、「カスピアン王子のつのぶえ」と「朝びらき丸 東の海へ」のどちらか2作、最後は「さいごの戦い」か「魔術師のおい」か?
う〜ん、よくわかりません。

子どもたちと、旦那といっしょに行ったのですが、みな食い入るように観ていました。
長男は、魔女の城で、オオカミが急に起き上がるシーンがびっくりしたとか。次男もじっと見てたから、面白かったんでしょうね。
旦那からは、あとからまたいろいろ聞かれた私でした。

とにかく、観にいってよかった、最高のファンタジー映画でした。あおり文句の“それは、一生に一度だけ出逢える本物のファンタジー”というのも、あながち誇張でもないな、と納得させられました。私としては、一生に何回も出会いたいものですがね。