森絵都「屋久島ジュウソウ」

屋久島ジュウソウ

屋久島ジュウソウ

森絵都さんの初旅行記?と思って、図書館にすぐリクエストいれた私・・・さすが森さん、人気作家。さほど待たずにきたのはエライ!!

小説すばる』誌に連載していたエッセイ「サイト サイト−シーイング」(英語なのですが、打つのがめんどくさいので、カタカナで失礼!)と、同誌に寄稿した旅日記「屋久島ジュウソウ」が同時収録されています。
もともとエッセイのほうを主体に、そのおまけとして収録する予定でいたのが、予想外に長くなってしまったのでこっちをメインにすることにしたそうです。

屋久島というと、私は恩田陸の『黒と茶の幻想』を読み、初めて知ったようなものでした。それで何となく憧れの地、って感じにみていたのですが。

本書は、森さんと装丁・挿画担当の池田さん+編集者3人のてんやわんやの(?)屋久島体験記、となってます。
宮之浦岳という、九州最高峰をめざしての登山記です。でも、びっくりしたのが、このなかのだれもが登山初心者で、屋久島に来たのも初めて、という面々だったこと。とくに森さんと池田さんのふたりにいたっては、どこをどう間違ったのかお花がいっぱいの楽しいコースと勘違いしていたそうで・・・いや、知らないってことは怖いことですねえ。

そんな5人が、ガイド役の屋久島在住の細田さんという男性に連れられて、屋久島の山々をジュウソウするのです。
この「ジュウソウ」という言葉は恥ずかしながら私も全く知らなかったのですが、縦走と書くそうですね。と言っても、みんなで縦になって走る、ってわけじゃなくって(笑)。登山用語で、尾根伝いに山を歩き、多くの山頂を踏む登山形式、だそうです。知らなかった〜!これでひとつかしこくなった!・・・って言うんじゃなくって・・・(笑)

苦しい登山のようすが淡々と書かれていて、何だか読んでいるこっちまでいっしょに山を登っている気分になってしまいました。みんな黙々とひたすら歩く、という感じで、見るからに大変そう!!私だったら、きっと耐えられないだろうな。

写真やイラストも添えられていて、よかったです。この写真とイラストが前述の池田さんという男性の手になるものだそうですが。写真もだけど、イラストが雰囲気でていてよかったです。おしまいの方に、墨絵風のイラストが何枚も挿入されていて、印象的でした。

森さんの文章もおもしろかったです。とくに、毎日全員の分の食べたもの(おやつ類は除く)と飲み物が記述されていて、面白かったです。それぞれ選んだものを比べて見たりしてね。

屋久島といえば縄文杉が有名ですが、森さんがお気に入りだったというウィルソン株、いいなあ、私も見てみたい!何となく宮崎アニメを連想してしまいそうです。宮崎さんといえば、「もののけ姫」の舞台となった地があるそうですが。白谷雲水峡というところだそうですが、ある理由で森さんたちは行きませんでした。何でかは、読んでからのお楽しみ、ということで。

もうひとつのエッセイ集のほうも、それぞれよかった。短い文章が14個載っているのですが、中でも読書に関する項目が印象的。森さんの「トラベル読書術」面白かったです。いつも注意しているという山形のハーモニー「短・長・短」のバランス。なるほど!って感じでした。私も参考にしよう!・・・参考にできるような長い旅をするかどうかは?ですが。

それにしても、作家さんってあちこち旅行してるんですねぇ。羨ましいを通り越して、すごいな〜ていう尊敬と感嘆の眼差しで見てしまいます。私なんて新婚旅行の一回こっきりだもんなあ、海外は。
一般人のボヤキは別に置いといて〜 森さんといっしょに旅してるような、楽しい本でした。とくに屋久島は、これで私のいつか行ってみたい度がぐっと高まってきました。ほんと、いつか!があるといいんですけどね〜