「ハリー・ポッターと謎のプリンス」J・K・ローリング


ハリー・ポッターと謎のプリンス ハリー・ポッターシリーズ第六巻 上下巻2冊セット (6)

ハリー・ポッターと謎のプリンス ハリー・ポッターシリーズ第六巻 上下巻2冊セット (6)

念願のハリー・ポッター新刊ですが、やっと読めました。(予約して買ったのに、今まで読むヒマがなくってずっと積読してました)

前の巻はやたら長いという印象がありましたが、この巻はもうあっという間という感じでした。
もう読むページすべてが興味をひくようで、どんどん読めました。とくに後半に行くにしたがって、急展開になってきて…最後は止まらなくなり2時まで夜更かしして読了。
読み終わったら、ため息です。どうなっちゃんだろ、この先…。

あらすじはパスしますが、今回初登場の人物が何人か出てきます。
その第一が、ホグワーツの新任教師ホラス・スラグホーン。
体型は太ったセイウチのようで、自ら「ナメクジ・クラブ」と称する、有名人好き好きクラブを主宰するという、かなり俗物的人物。
で、「闇の魔術に対する防衛術」の教師はいつも一年しか続かずに毎年、新任教師がきていたものですが、今回の場合はちょっとちがってて…

ハリーは、このスラグホーンの授業で、今までになく最高の評価を得ます。その理由は・・・、というのが、今回の巻の表題にもなった謎のプリンスに繋がっていきます。
以来、この人物は何者か?というのに、興味が集中していくところですが・・・

他にも謎の部分はありました。マルフォイの奇妙な行動とか。いや読者にとっては、冒頭の部分があるので、それがどういうことなのか最終的なところはわかっていることなのですが、細かい部分がどう繋がっていくか、そこのところはものすごく興味がありました。

それと今回、もっとも惹かれた場面は、ダンブルドア校長とハリーの特別授業の場面です。
ヴォルデモートの謎を解こうと、憂いの篩を使って様々な人物の記憶を紐解いていく過程で明らかになった、ヴォルデモートの、人間、トム・リドルの過去と素行・・・
その部分だけ切りとって別な話にして読みたいくらいでした。
トムの両親とか、母親の家系のこととかも出てきて、興味が尽きませんでした。

どうして今のヴォルデモートに繋がっていったのか、わかってとてもよかったです。理由とか必然性とか・・・よく考えられた物語だったと、あらためて思いました。

謎のプリンスの正体。私はけこうラスト近くなるまで気づかずに、驚きました。(事前に情報とかもいれてなかったし)
まさに、そうだったのか!という感じでした。

初めて、原題のわけがわかった気がします。「ハーフ・ブラッド」のハーフって、そういうことだったんだ、単なる混血ってことじゃなかった。
日本語版タイトルが途中で変わったのもうなづけますね。

そして最後に、衝撃のラストです。
これは全く予想もつかないことで・・・まさに、ウソ!?と叫びたくなるほどのものでした。
だれがこんな事態を予想しえたでしょうか。まさかあの人が・・・という感じです。(これ以上は言えません)

そしてその人の信頼を裏切ったかたちになってしまった彼・・・いったいこれからどうなることでしょうか。読者である私たちはあくまでも、彼のことを信じていたい気持ちでいっぱいでしょうけど。

暗い内容の多い本書でしたが、笑える場面や嬉しくなる場面も随所に散りばめられていました。
それがフレッドとジョージの悪戯専門店だったり。例のあの人を茶化してしまうなんて!だれも考えないでしょうね。

ハリーの恋愛の悩みも花を添えてくれました。やっぱりそうなったか!って感じでしたけど。
彼女、いつのまにか大人になってたんですね。裏でそんな話があったとは。女の子同士の方がいろいろ話は早いですね。


ですが、大いなる悲しみを乗り越えて・・・ハリーは決然と立っていきます。きっぱりとしたその姿勢に好感をもてました。最後の場面では思わず、ほろりとしてきてしまったほどです。

・・・みんなみんな、大人になったんだね。

そう声をかけてあげたいです。

これからのことも気にかかります。7巻が非常に気になってくるところ。早く読みたいですが、でもそれで終わってしまうと考えると寂しいような。
いずれにせよ、この壮大な物語を、もういちど一から読み直してみたい気持ちになりました。