「彩雲国物語 花は紫宮に咲く」雪乃紗衣
- 作者: 雪乃紗衣,由羅カイリ
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2004/07/01
- メディア: 文庫
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やっと、シリーズ3冊目です。
この巻では、みごと国試に上位の成績で及第した秀麗が、女官吏への茨の道を歩きはじめていくお話が収められています。
女性が社会へでて貢献するということは、どんな世界、どんな時代でも同じこと。厳しい道です。
いままでは国試を受けることを目標にしていた秀麗ですが、実はそこがゴールではないことに気がつきます。
本当のスタートはここから、だったのです。
官吏として、見習い期間のようなものを設けられ、配属前にあらゆるお仕事をあたえられることになった秀麗たち、進士たち…
わずか13歳で状元及第してしまった杜影月とともに、秀麗は女だから、という理由で周囲からいじめにあってしまう。それはこれが国を預かる者たちか、と信じられないくらい、子どもっぽいもので。
けれど厠掃除に沓磨きと、影月ともにあたえられた仕事を精一杯つとめあげる秀麗は、えらい!ですね。
またまた好感度アップです。
それに、そうやって叩かれてあがってきた者は何も彼女だけじゃなかったことが後にわかります。
とある中心人物たちもそうだったのでした。
人間、叩かれてこそ強くなれるのだな、と思いました。
そうして踏まれても踏まれてもめげずに、上をめざす市井の雑草のような強さ。
そういう人間がより高みまであがれるのかもしれない、と。
最後に、秀麗と影月にあたえられた配属先… これぞ彼らにぴったりな場所だったことでしょう。
これから後の展開が気になるところです。
ラスト近くの、劉輝の秀麗へのラブコールがよかったですね。
国を治める王を支えるために官吏になろうとする秀麗と、ただ自分の横にいてほしいと望む劉輝と、ふたりそれぞれの願いがうまい形でおさまるようなラストが望ましいです。