「ルート225」藤野千夜

ルート225 (新潮文庫)

ルート225 (新潮文庫)

これもまた初めて読む作家さん、でした。かわいい新潮文庫の表紙イラストとイメージは全然違っていて、なんというか現代っ子だなあ、という印象でした。姉と弟のやりとりが、きっとこういう子たちっているんだろうな、と思わせてくれますね。

ストーリーはパラレルワールドというSFチックな小道具を使いつつも、でもこの姉弟のやりとりを聞いているとそんなたいそうなこともなく、ごくごく日常的会話のなかで進んでいきます。最後は、どうなるんだろう、無事もとの世界に戻れるんだろうか、と大人である私はいろいろ考えてしまいますが。このラストには驚きました。まさか、こういう手でくるとは。北村薫の『スキップ』や『ターン』を連想して、きっと・・・と自分ではいろいろ想像してしまっていたので、なおさらでした。

ふだんSFやファンタジー小説を読みなれている方だとちょっと引いてしまう内容だったかもしれませんが、YA小説としては成功しているのかもしれません。私もちょっとすっきりしないものを感じましたが、最後の、姉弟が本当の世界の両親と交信を試みる場面はちょっとせつなかったです。あちらの両親の思いを考えると・・・
こっちの世界の両親はいったいどうしちゃったんだろう、とか、こっちの世界の姉弟は・・・?と、疑問はたくさん残りましたが。とりあえずは、これでいいんだろうな〜、不可解だけれども。


結論としては、ルート225=15歳、という年代の少年少女たちの心の動きを楽しんでいくもの、なのでしょう。