「三四郎はそれから門を出た」三浦しをん


三四郎はそれから門を出た

三四郎はそれから門を出た


この前に読んだ評論の本でちょっと頭を使いすぎたので(笑)、しばらく脳を休めるためにこの本を選びました。などと言ったら失礼でしょうか。でもしをんさんのエッセイ本は、肩の力抜いて、笑って楽しめるから、すごく好きなのです。
この『三四郎はそれから門を出た』もその例を出ず、予想通りの笑いを得ました。本に関すること、その他のこと。軽い読み物ですっかり脳がリフレッシュしてしまった感がありました。
もともとこの「三四郎はそれから門を出た」は、朝日新聞に連載していた中高生の読書に関する一コラムだったのですが、私はその頃からこのコーナーに注目し、毎月楽しみにしていました。ちょっとうっかりして新聞チェックするのを怠ってしまったときなどは深い後悔につつまれたものです。だから本になることを知って、喜び勇んだ私でした。
予想外だったのが、思ったほど量がないことでした。新聞で読むとけっこう読みでがあったように思えたのに、本になったものを読むとあれ?と拍子抜けするほど短かった! 連載自体は二年半とのことでしたが、月一回だからそんなにはないんですね。
本になってみると、全体の三分の一といったところでしょうか。
でも全部読めて満足しています。読んだことのある本についても、読んだことのない本についても。前者に関してはそうそう、そうだったのよ!と共感したり、へえ?と思うことがあったり・・・ 後者に関してはこれから読む機会をもちたいと思います。

「本のできごころ」(このタイトルなんともよい!!)の章も面白かったです。本の舞台になった場所をたずねてみたり、本にでてきた食べ物を作ってみたり(結果は・・・惨敗?)、また本にはさむしおりの話、電車のなかで他人が読んでる本の話、理想の本屋さんの話、本の探偵と称し、電車内で人が読んでる本を推理し、自分も読んでみる話などなど、どれも面白く本好きの血が騒ぎました(笑)。

雑誌「anan」に掲載されたという「役に立たない風見鶏」の章もすごくよかったです。役に立たないといわれるけれども、私には役に立ちました。この中で紹介されていた、「豆乳豆腐」私も作って食べてみましたら、ものすごく美味。しをんさんのおかげで家族一同、美味しい夕食を頂くことができました。まだの方はお試しあれ! 豆乳に豆腐をいれてことこと煮るだけ、という簡単料理。器にもって青葱と鰹節を散らして食せば、心も身体もうっとり。芯からあたたまります。
この時期にこの本読んでよかったぁ!と思いましたね。これが出た夏(2006年7月)当時に読んでたら、暑くてとても作る気にはなれなかったでしょうから。
うちはお野菜として白菜とネギを足して食べました。じっくり煮なければならないので、白菜に火が通るまでちょっとかかってしまいましたが。改良策としては、豆乳を入れる前にダシであらかじめ、野菜を煮込むか、別鍋でゆでたものを豆乳に投入(駄洒落ではなく)すればいいのかもしれないと思いました。次、作るときはそうしてみます。

次はしをんさん大得意のお好み焼きにチャレンジしよう、と思っております。これも美味しそうなんだな。

ちょっと雑誌の傾向(読んだことがないのでどうだかわかりませんが)と違うところはあったのかもしれませんが、しをんさん好きな読者にとってはそんなこと全然ない!の世界だったでしょう。

本以外の事に関するエッセイも面白かったです。楽しく笑いながら、たまにはしんみりしながら読ませてもらいました。