「図書館危機」有川浩

図書館危機

図書館危機

図書館戦争』シリーズ、第三弾です。これはもう、最初から最後まで面白かった!最高でした〜
読んでてよかった、買ってよかった、お釣りがくるくらい・・・と思いましたもん。


前巻の最後で、「王子様」の正体がわかってしまった郁。さあどうなる?と思ったけど。
小牧の、王子様じゃなくって、彼自身を見てやって・・・との言葉に、「王子様」を卒業しようとじたばたするのですけど。
もう、読んでて、きゃー!と胸のなかで叫ぶこと多々。
なんとも楽しい読書でした。

前半は、出版に関するタブー語にまつわる事件で、へえそんなことがあるんだ、と目からウロコでした。
「床屋」がひっかかるなんて! この話ではメディア良化法に対する造反語とされていましたが、実際に放送禁止用語に指定されているんだそうで・・・ これってちょっと差別じゃないですか。
どうして「床屋」がいけなくて、「理容師」や「散髪屋さん」だったらいいのか。普通に、日常生活でよく使うのは「床屋」さんなのにね。
作者と実家が床屋の友人の間で、どこで誰がそんなこと勝手に決めたんだろうね、って話になって、このエピソードになったそうです。


手塚の話もちょっと可笑しかったですね。いつもなら余裕綽々な手塚なのに。郁のほうが上手だった!
なぜか?〜 昇任試験での一こまでした。試験の項目が手塚にとっては苦手な分野だったがために、四苦八苦する手塚。面白かった〜っ。
手塚といえば今回、柴崎とちょっとあやしかったですね。これからが楽しみな一件です。


小牧と毬江ちゃんのカップルもうまくいっているようで、嬉しい。
図書館や書店の片隅で行われている卑劣な行為。盗撮や猥褻行為・・・信じられないし、許せないことです。
しかもそれを、身体の不自由な人に対してしてしまう行為が。小牧の怒りは、最もなことでしょう。無事解決してくれてよかったよかった。


そして今回の愁眉を飾るのは、茨城県展での一件。
前作ではなかったけど、今度はしっかりあります。戦闘シーン。壮絶でした。玄田隊長!
「それでしまいか?」のせりふ、凄すぎる。思わず、手に汗握っちゃいましたよ。


そして郁の里帰り、勃発です。
あのすごいお母さんがまた登場。どうなることかと思ったけど、何とかまとまってくれてほっとしました。
対して郁のお父さんはわかっててくれたんですね。よかった〜っ。

茨城の図書館の女子寮に入った郁。またいじめにあって・・・と思ったけど、堂上さんのフォローがまた憎いね。
あのコインランドリーのシーン。じんときます。
温室での一件も〜。またドキドキわくわくした私です。まさに胸キューンってやられますね。少女漫画の王道でしょうけど・・・でもやっぱりいいもんですね。


そしてそして〜。徽章のカミツレカモミール)にあんなエピソードがあったとは。私もずっと菊かと思ってましたが。
いいお話でした。『日野の悪夢』から二十余年。
図書隊を作り、見守ってきた稲嶺司令。その思いが何ともせつないです。


あとがきによると、このシリーズはあと一冊で終わるとのことですが、できることなら終わって欲しくない思いでいっぱいです。
でも続きは読みたいんですがね。