「読書会」山田正紀 恩田陸
作家、山田正紀と恩田陸の読書に関する対談集。
いろいろ本に関する話があって、おもしろかったです。
ゲストも、萩尾望都など大物の参加があって、その点でも見る価値ありでした。
しかし、扱われている作品がまた読んだことのない本ばかりで・・・ 興味を誘われたことは確かだが、全然読んでないんで、対談を読んでもいっしょにうなずくことができずに、それだけは残念でした。
この本は買ったので、いつかそれらの作品を読んでから、またこちらも再読したらいいかもしれない、と思いました。
(あくまでも思っただけなんで〜 実行できるかどうかちょっとわかりません)
以下、作品名を記しておきます。
半村良『石の血脈』『岬一郎の抵抗』
I・アシモフ『鋼鉄都市』『はだかの太陽』
U・K・ル=グィン『ゲド戦記』
沼正三『家畜人ヤプー』
小松左京『果てしなき流れの果に』
山田正紀『神狩り』
S・キング『呪われた町』『ファイアスターター』
萩尾望都『バルバラ異界』
恩田陸《常野物語》
などなどです。
この中では、ゲド戦記に対する読み方の違いがおもしろかったです。恩田さんと山田さんと… 好みの巻とか、ずいぶん違うものですね。
山田さんは『帰還』『こわれた指環』『影との戦い』『さいはての島へ』の順番でよかったそうです。(この当時はまだ『アースシーの風』は出ておらず、山田さんは読んでなかったそうです。恩田さんだけゲラを読んでしまってた、とか)
これに対し、恩田さんは、最初の『影との戦い』がダントツによくて、これ以降の物語は同じことを焼きなおして、語りなおしたようなものだから、いらなかったんじゃあないか、と言っていました。
中でも2巻の『こわれた指環』はどこがいいのかわからない、とか。
私はどっちかっていうと、山田さんの感想に近いかな、と思いました。一番、ぐっと来たのはやはり『帰還』だったし。
全く、同じ本を読んでもこれだけ感想が違うのだから、おもしろいですよね。
『帰還』でゲドがお皿を洗っているシーンを読んでから、山田さんは息子さんに皿は自分で洗え、と言ったとかいうエピソードが笑えました。
それに対し、司会進行の三村美衣さんが、皿だけ洗ってればいいってもんじゃないのよ、とかつぶやくあたりがまた。
まさに、ル=グィンがそんなふうに言ってそうで〜 可笑しかったです。
とまあ、こんなふうに時々、冗談などをまじえながら、飲んだり食べたりの宴会に突入してしまったりして、対談といえども全く堅苦しいものではなく、各人が本に関する四方山話を酒の席で語っている、という印象をうけました。
いろいろ読んでない本がたくさん出てきて、読書意欲を刺激してくれる、いい本でした。