「夜のピクニック」恩田陸

夜のピクニック

夜のピクニック

やっとこれを読みました。本屋大賞受賞作。もちろん私が買ったのは、受賞する前でしたが。
一読後、なるほどこれが本屋大賞なのね、と納得しました。

たった一日と一晩の出来事なのに。なんかとってもいいですね。
私にはこの本のような経験はありませんが、これぞ青春って感じで、懐かしいような何ともいえない気分になりました。


友情を主眼においた内容ということもあるけれど、何より、腹違いのきょうだいだという融と貴子の二人の変化というのがよかったかな。
全く解決というわけじゃないだろうけど、でもなんとなくいい空気がながれるようになってて・・・
単純だけれど、よかったなあ、なんて思いますね。

他にもまるで座敷わらし?みたいなエピソードもあったけど、でもそういうことのみんなが、この歩行祭という、特殊な学校行事のおかげだったわけで。


すごい行事ですよね。一昼夜、歩き詰めなんて!
きっと私だったら耐えられないと思う。
けど、たぶんこの作中にでてきた人物たちもきっと最初はそうだったと思うんですよ。


いっしょに歩くことで連帯感が強まる? 心身ともに鍛えられる? いろいろ効能はありそうですが。


でもそのなかでも一番は、ほんとどうでもいいことかもしれないけど、仲のよい友だちといっしょに歩いて、ああだこうだ、あることないこと喋りまくること。
いっしょに同じ道を歩いて、同じ風景を見ること。


こういうことに尽きるような気がするなあ!
体はそりゃつらいだろうけど、こんな体験めったに出来るもんじゃないです。
恩田さんの母校もこういう行事があったみたいですが、ちょっと羨ましくなりますね。


最後の読後感もよかったです。大変なことやり遂げた達成感みたいなものが感じられて。素直に読めた本でした。




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kanakana > 一昼夜だけとはいえ、ちょっとロード・ムービー雰囲気があったなぁ。大きな事件はなく、ただ歩くだけ。それなのにこんなに読み応えがあるなんて、さすが恩田陸だと思いました。 (2007/04/15 22:50)
ほっそ > こんにちは。この本と↑の本を続けて読むとは、ある意味冒険かもしれませんね。「夜のピクニック」は、自分も長距離歩行の経験があるので、共感しました。また年齢的に近い登場人物の母たちにも同様の気持が・・・(ちょっと悔しかったけど・・もう少し若いときに読みたかったです)彼らの達成感は爽快ですよね。 (2007/04/16 09:57)
北原杏子 > kanakanaさん、ただひたすら歩く、なんて経験は日常生活ではあまり縁がないですもんねぇ。それをここまでひっぱるとは、恩田陸ってすごいです。あらためてそう感じましたね。 (2007/04/28 13:26)
北原杏子 > ほっそさん、こんにちは!夜ピクと夏の名残の…確かに天地ほどの差があって…って感じですよね。でも刊行順に読んだので(涙)。
私はあまり長距離を歩いたという経験はないんですけど、これを思春期に読めたらなあ!って思いました。そしたらもっと…!ってね。何かを達成するのって、気持ちいいことなんだなぁ!ってすなおに感じました。 (2007/04/28 13:29)