「ユージニア」


ユージニア

ユージニア


「ある男の遺書によって解決をみたはずの事件。町の記憶の底に埋もれた大量殺人事件が、年月を経て様々な証言によって暴かれてゆく。真実を話しているのは誰なのか−。」


これは最高によかったです。最初から最後までのめりこんで読みました。
単行本の装丁から何からまるごとぜんぶ好き〜 なんてのは、ちょっとないかも。


一枚一枚謎のベールがはがれていくような感じで・・・
扱われている事件はものすごく凄惨な殺人事件のはずなのに、幻想的で・・・。
何よりもこれは、目が見えない少女、緋紗子の雰囲気と結びついているせいでしょう。(ラストはちょっと興が冷めた感じでしたが)

幻想的でありながら、生々しい殺人事件という謎を追いかける。そのギャップがよいような気がする。


タイトルのユージニアというのは、何かとずっと思いながら読んでいたのですが、最後で判明。そうか!そういうことかって感じですね。

あの青年が書いた詩、「ユージニア、私のユージニア」から始まる幻想的詩がまたよかった。この詩の文句がずらっと帯の回りに印刷されていて、おまけに本の扉をあけてすぐの巻頭に凝った装丁で詩の全体が載せてある。
こういう贅沢なつくり。それだけでもたまりません。
カバーを剥がすと、その裏にすけるように写真があるのがまた何ともすばらしい。

手に持った感じもまたいい。しっくりとくるというふうで・・・

などと何か装丁のことばかり書いてしまいましたが、これは何度でも再読したい本になりました。


あと主人公の少女の置かれていた環境。私もちょっとわかるような気がしました。ああいう雰囲気、私もちょっと苦手かも。

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まゆ > 恩田作品って、人によって評価が全く別れるのですよね。北原杏子さんはこれが★5つですか。この本、片方のページが、全体が微妙に傾いているのですよ。気がつきました?私は言われるまで気づきませんでした。 (2007/04/17 21:15)
kanakana > 緋紗子、すごく魅力的でした。カリスマ性があるというのでしょうか?ラストでは魅力的に思えなかったけれど、それも恩田陸の狙いなのかなぁ。 (2007/04/18 21:07)
青子 > 北原杏子さん、こんばんは。私、この文字の傾きが気持ち悪くて、気持ち悪くて。読んでいる自分にも毒を盛られたような気分になりました。これはちょっと苦手でした。 (2007/04/22 19:58)
北原杏子 > まゆさん、恩田作品って読む人によって評価も違いますよね。私はこれよかった、と思いますよ。
ページの傾き、全然気付きもしなかったし、教えてもらってから本を見直しましたが、どうということもありませんでした。鈍感なのかな、私って。 (2007/04/28 13:18)
北原杏子 > kanakanaさん、そうですね、緋紗子魅力的ですね。ラストではちょっと半減してしまった(現実にかえった?)感じでしたけども。それまで幻想っぽくなってたのに、一気に目が覚めたって感じでしたよ。 (2007/04/28 13:20)
北原杏子 > 青子さん、上にも書いたけど、私は全く気付きもしませんでした。気持ち悪いかなぁ?といま本を手にとっても、よくわかりません。全く気にならなかったです。この本に書かれてる毒、私には魅力的にうつったみたい、なんて書くとヒンシュクですかね。 (2007/04/28 13:21)