「海駆ける騎士の伝説」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ

海駆ける騎士の伝説

海駆ける騎士の伝説

『十九世紀の英国と時のはざまにある伝説の国を舞台に、二つの世界の子どもたちと騎士が活躍する、ロマンチックな冒険ファンタジー。英国の「ファンタジーの女王」による、若き日の傑作!』

と、いうことですが… これは、ジョーンズさんがデビューする前、子育てに追われながら自分の楽しみのためだけに書いたものなんだそうです。

初期も初期ということで、後に見られるような、めくるめくストーリー展開というのはないんですが、でもこれだけ読んでもごく普通にファンタジーとして読める、完成されたものがあるんですから、やはりすごいですね。

それどころか、これから彼女の作品を読んでいこうとする人にとってみれば、ちょうどいい作品なのかもしれません。
長さもちょうどいいし、物語としての面白さというものも十分に備えていますから。

伝説の国というから、わくわくして読み始めましたが、その期待は裏切られませんでした。実際に、イギリスにある場所を元にして書かれたそうで、それだけに現実世界との重なりが感じられ、ゼロから舞台を創り上げるよりも、より自然にすっと入っていけるような気がしました。
もちろん日本人である私たちには、実際のその場所は想像することくらいでしか、わからないのですけど。


流砂のなかにある道をわたっていく、というのが、またよかったです。時の流れがどうなっているのかな、とか考えないでもないですが。そこまで複雑ではなかったみたい。

佐竹美保さんの美しい挿絵も、魅力をそえていました。場面を想像する助けになってくれるような、いい絵でした。
とくに見開き2ページを使った絵がすごくよかった。ロバートとセシリアがいっしょに馬に乗っている絵、です。


個人的に、アーロンという名の人物が出てきたのが、ツボでした。魔術師なんですね〜 思わず、プッと笑ってしまった私。
まったく違うんだけど・・・ 長靴の底が顔になったような感じだなんて!ジョーンズさんらしい、独特な描写ですねえ。


破棄してしまったという、他の五つの短編もみてみたかったです。なんてもったいないことを!と思ってしまいました。
それ以外の短編がまだあるみたいなので、そっちもまた楽しみです。

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ときわ姫 > 読み終わったんですね。私も他の5編、もったいないと思いました。でもそれもその後の小説に生かされているんでしょうね。 (2007/05/01 10:03)
すもも > 完読ごくろうさまでした。私的にアーロンは、やはり若くて青い瞳の騎士でなくては・・・(笑) (2007/05/01 16:27)
北原杏子 > ときわ姫さん、けっこうさらっと読めました。他の5編、もったいなかったけど、後に生かされてると思えばしょうがないかなって感じですね。 (2007/05/01 23:31)
北原杏子 > すももさん、読みやすかったのでけっこうすぐに読めちゃいましたよ〜 アーロンって名の人が登場すると聞いたので、どの人かなって期待しつつ読みはじめたのですが…(笑) 登場したとき、えー、この人なのかい!!とひとり突っ込みいれてしまいましたよ。予想外でした(爆) (2007/05/01 23:34)