「ロボット」カレル・チャペック
- 作者: カレル・チャペック,Karel Capek,千野栄一
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2003/03/14
- メディア: 文庫
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207p。
戯曲でしたが、私には読みやすかったです。
いまあるロボットの原型がここにありますね。
ロボットという言葉を作ったのが著者であったなんてこと、全く知らなかったです。
ここからはじまっていったんですね。そう思うと感慨深いものが。
チャペックというと、児童書を書く作家という認識でしたが、こんなふうな作風のものも書いていたんだと感慨深かったです。
戯曲なので読みにくいと思われるかもしれないですが、私にはわりと読みやすかった気がします。
ところで、ロボットという言葉はこの戯曲から生まれ、世界中に広まっていったものなんですってね。
全然、知りませんでした。詳しくは巻末に書かれていますが、兄の画家に、著者が人工の労働者をどう呼んだらいいものか、と相談したところ、兄はロボットにしたら、といったとか。だから、本当の発案者はチャペックの兄だったということになりますが。
チャペックはこの話を書いただけ、というわけです。
「舞台は人望人間の製造販売を一手にまかなっている工場。人間の労働を肩代わりしていたロボットたちが一致団結して反乱を起こし、人類抹殺を開始する。機械文明の発達がはたして人間に幸福をもたらすか否かを問うたチャペックの予言的作品」
ロボットというと、機械的なイメージだったけど、ここに出てくるロボットたちはどちらかというと、人造人間的なもの。
R.U.R.というのは、ロッスムのユニバーサル・ロボットの略。ロボットの製造と販売を一手に請け負っている工場です。
そこで、社長をはじめ、ロボットの開発に携わってきた重役たちが、自分たちの作ったロボットに反抗され、ついには人間社会を根底から覆すような騒動に発展するのですが、最後に向けての展開が何とも皮肉な結果というかなんというか複雑・・・。
ロボットはもともと人間に造られたもの、という前提から生まれた結末でした。
大事な設計図だったのに、そんなことで・・・!と思ってしまいますね。
人間たちを殺してしまったロボットたち。彼らはそうしてしまってからはじめて気付きます。自分たちにとって人間がどういうものであったのか、を。
ロボットには魂がないのか?、人間とロボットの関係とは?
共存する道はないのだろうか?
と、様々なことに考えがいたる作品でした。
人間に仕えることに反抗して、人間と争い、殺しあったロボットたち。最後にむかえた結末は・・・
何を言おうと、ネタばれになりそうなので省きますが、私はよかったと思いました。