「マハラジャのルビー」

マハラジャのルビー―サリー・ロックハートの冒険〈1〉 (創元ブックランド)

マハラジャのルビー―サリー・ロックハートの冒険〈1〉 (創元ブックランド)

ヴィクトリア朝英国を舞台にした、スリルとサスペンス?
マハラジャのルビーって何か、と思った。
しっかり者のヒロインが、なかなかいい味だしてます。
続編にも期待してます。


ヴィクトリア時代のロンドンを舞台に、変わり者の少女サリーが父の死と呪われたルビーの謎をめぐって大冒険!」

プルマンの新作ということで、期待をもって読みました。
ライラの冒険〉に次ぐ大作?と思ってたけど、これはちょっと小粒でした。
でももちろん不満はないです。これはこれで面白かったし、キャラクターの魅力もありました。
とくにヒロインのサリー。変わり者、というふうに紹介されていたけれど、根がしっかりしていて、物事をちゃんと見ているという感じで、好感がもてますね。
かよわいレディという感じではないですね。
印象的だったのは、行き場がなくなってしまい、居候することになった写真店の今後をちゃんと考えようとしていたことです。
他の人はみな、売り上げが伸びなくても、しょうがないって反応だったのに、サリーはそれじゃいけない、といろいろ自分で考えて行動するんです。
そこのところが、何かいいなあ、と思いました。
ヴィクトリア時代という、時代の先をいくようなお嬢さん、ですね。

そんなサリーが大活躍する冒険。これは第一作ということでしたが、マハラジャのルビーというからには、きっとすごい謎が秘められていて、(伝説の秘宝とか?)それをもとめて大冒険に次ぐ大冒険をするんだ、と勝手に思ってましたが、確かに冒険ではありましたが、私が思い描いていたのとはちょっと違いました。

サリー自身も、ずっと動いて活躍、という感じじゃなくて、たとえば店番をしてるあいだ、他の人たちが動いていろいろな出来事に巻き込まれる、ってな感じ。
16歳の少女だから、しょうがないともいえますが。

サリーだけじゃなくって、海運会社に雇われていた少年ジムの活躍もめざましかったですね。けっこう目だっていました。サリーとジムの冒険、というタイトルでもよかったぐらい(?)

マハラジャのルビーですが、そういうことだったのね、とちょっとその点では、あれ?って拍子抜けしました。
最後もあんなんなっちゃいますし。

サリーたちの敵側にあたる、ミセス・ホランドってちょっと怖いですね。ホプキンズっていう、頭はちょっととろいけど、腕っ節は強いっていう手下をつれて、ルビーの秘密を探ろうと、旅籠に行って店主にいろいろ聞きだすやり方とか、ミセス・ホランドの経営している旅籠の使用人だったアデレードへの対応とか、アデレードがさらわれてしまって、あとを追ってきたジムが町を逃げ回ってるシーンで、あわやというときに登場するところとか・・・
なんか不気味で、得体のしれない婆さんでしたねー。

このシリーズは一話完結みたいなようで、話がいったん終わっているのはありがたいことです。続きが読みたくてウズウズということが少ないですから。

続編も楽しみにしています。