「きみはポラリス」三浦しをん
- 作者: 三浦しをん
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2007/05/01
- メディア: 単行本
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初恋、禁忌、純愛、結婚、信仰、偏愛、同性愛…。世間の注目も、原稿の注文も「恋愛」のことばかり。なら、とことん書いてやろうじゃないの! ということで生まれた、恋愛小説の名手が紡ぐ、11の「恋愛」の形。
いや、これは久々にヒット!という感じの本でした。さすがしをんさんの本だわ!だてに○○好きといわれてないわ、と思ってしまいました。
テーマが恋愛ということでこれを書いた、ということですが、しをんさんでないと書けない小説じゃないか、と思えました。
全部で11の短編が載ってますが、それぞれいい感じで、楽しく読めました。
中でも私がいちばん気に入ってしまったのが「春太の生活」。読めば、バレバレに最初からばれてたような内容ですが、またこれがいいんですね。思わず、頬がゆるんじゃうような〜
「春太」の愛している女性麻子さんに対する、“彼”のまなざしを想像できて。言葉にならない、優しさとかあったかさ、とかそういうものが胸にあふれてくる、という感じ。
反対に、「私たちのしたこと」は、ぞっと背筋が凍りつきそうな、そんな内容でした。全く迷いもなく、当然の行為としてそれをしてしまった彼は怖いです。それも恋愛のひとつのかたちなのでしょうか。
「春太の生活」から感じたような温かいものとは全然ちがう残酷なまでの愛。愛のためにそれをされた恋人はそれ以来、眠れない毎日を過ごすというのに・・・
何か恐怖という共通項でもって繋がっているような関係という感じがして、嫌なものですね。彼らが別れてしまったのも分かりますね。
けれど、ただ愛、恋というテーマだけで、これほどバラエティに富んだ短編集が書けるしをんさんは、やはりすごかったということでしょうかね。
最後の「永遠につづく手紙の最初の一文」を読んだとき、私ははっとしました。そしてせつないねぇ、と思いました。一生、通じることもない恋もあるんですね。
BL好きのしをんさんだけど、案外こういうのがツボにハマるのかも。
その手の漫画を読むときのようなどきどき感はなかったけれど、しみじみ感じ入ってしまうような短編集でした。
「きみはポラリス」というタイトルがまた泣けますねー。
永遠に、彼(または彼女)は彼にとってポラリス=北極星でありつづけるんだよ、と。
「きみは輝けるぼくの星」なんて漫画が昔、ありましたけど。きっと、永遠に彼らの胸のうちで輝いているんでしょうね。ちょっとセンチになってしまう秋の夜などに、一読するのもまたよろし、かもしれません。
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まゆ > 私は「私たちのしたこと」みたいなくら〜い話が好きです(笑)しをんさんの本質って、こういうところにあるんじゃないかな、と思っています。この総タイトルが「きみはポラリス」っていうのがいいですよね!このタイトルで、★1個増やしたい気分でした。 (2007/08/29 18:42)
北原杏子 > まゆさん、しをんさんの本質。なるほどそうかもしれませんね。タイトルもずばり、いいです。私もタイトルだけで★一個増やしたいくらいでした。 (2007/09/01 00:05)