「隣の家の少女」ジャック・ケッチャム

隣の家の少女 (扶桑社ミステリー)

隣の家の少女 (扶桑社ミステリー)

「本を読む人々。」コミュの読書会課題本となったので、読みました。
実はケッチャムは初めて読むという私。事前情報から、怖い怖いと聞いて読んだのですが。

確かにこれは・・・怖い。 というか、非常に痛い小説でした。

もう、なんともいえずひっちゃかめっちゃかに、痛めつけられ、心理的に深い奈落に落とされます。それでいながら、途中で読むことをやめられなかったことも事実。
虐待という、目を覆わずにいられない出来事を読みながら、そこで読みやめるということができなかったのでした。


また、これがたんなるフィクションなどではなく、実際の事件にもとづいて書かれた小説であったらしいこと。それがまた衝撃的でした。
今はまだ読み返すということができないでいる私ですが、一年くらい経ってからまたページを開いてみれば、また違った感想を抱くのかもしれません。登場する人物の視点の違いによっても、また話はちがったものになっていく、のかもしれません。


チャンドラー家に引っ越してきたメグとスーザンの姉妹。とくにメグという聡明な少女に対する、少年たちの関心は、ありふれた思春期の少年たちが抱くものとなんら変わらなかったはず。


それがどこでどう間違って、あんな結果を招いてしまったのか。考えても考えても、思考はぐるぐる回るだけで、なんともいえない悪酔い状態、という感じですが。


衝撃的事件を、淡々と主人公ディヴィッドの視点で描いてみせた、作者の筆致には脱帽せざるを得ませんでした。