「ベオウルフ 呪われた勇者」

映画「ベオウルフ 呪われた勇者」今日、見てきました。
漠然と見にいきたいと思いながらも、事前情報など何もいれないで行ったので、フルCGということも知らずに、始まってすぐに何だか変だな、人間が人間っぽく見えない、まるでゲーム画面みたい、と感じました。

これも後で知ったけど、顔だけは俳優さんで、体とかほかはみなCGなんですね。それでいて、演技は俳優のそれに連動しているという・・・
ほんと今の技術にはびっくりです。
パンフに、ベオウルフ役の人が、自分の実年齢と大幅に違った役も幅広く演じることができるという可能性を指摘していましたが、そういうのもありなんだなあぁと感心しました。

ストーリーは原作の話を知らない人にも楽しめるように、非常にわかりやすくまとまっていたと思います。
私も原作は知らないで見ましたが、面白かったです。

実は、私はサトクリフのものをずっと以前、買っていてそれを読みかけたことがあったのです。
訳者が井辻朱美さんだったので期待して読みかけたんですけど、何となく読みそびれてしまって…そのままになってしまいました。

最初の王の館での宴会の様子など、その辺まではうっすら記憶がありました。映画は原作の不明な点をうまくつなげてあり、一本の映画として筋の通るものに仕上げてあるそうです。

原作では、ベオウルフはグレンデルを倒したあとその母親も殺していて、その後ドラゴンが出てくる話は全く別個の話となっており、前半の話と総合性に欠けるという点があったそうなのです。

脚本を書いた、ニール・ゲイマンという人が、前半部分と後半部分をうまくつなげています。その処置はなるほど、と納得させられるものでありました。詳しくは省きます。

まぁ原作の意図したものと比べ、正解なのかどうか、そこのところはわかりませんけど。

伝説に謳われた英雄と現実のものとは違うものではあるけれど、それでもそうして伝説に謳われることで、英雄は永遠に人びとの心のなかに生き続けていく。

そんななことを訴えかけている映画でした。
エンドロールで流れ、劇中曲として使われていた曲(英雄が帰ってくるとかいう感じの・・・)、あれはちょっとよかったです。
ベオウルフ以外の、たとえばアーサー王の伝説とか、他のいろんな英雄譚などを想起しました。人びとが必要としている時に帰ってくる、なんてまるでムアコックのヒーローものみたい〜
と、個人的に思ってしまいました。

結論として、私のなかでこの映画はあり、な映画でした。
宣伝文句にあった、ロードオブザリングに匹敵するとかそういう大作ではないけれど、悪くはないと思います。
あんな誇大広告さえなければ、もうちょっと受け入れられた映画だったのでは、と思うのですけど、いかがなものでしょうか。

サトクリフの「ベーオウルフ」もきちんと最後まで読んでみたいと思います。


ベーオウルフ 妖怪と竜と英雄の物語―サトクリフ・オリジナル〈7〉 (サトクリフ・オリジナル (7))

ベーオウルフ 妖怪と竜と英雄の物語―サトクリフ・オリジナル〈7〉 (サトクリフ・オリジナル (7))


これは新しく出た版。私がもっているのはこれではなくて、↓の本です。

ベーオウルフ

ベーオウルフ


ほかに、映画オリジナルストーリーであろう小説本も出ていました。

ベオウルフ―呪われし勇者 (小学館文庫)

ベオウルフ―呪われし勇者 (小学館文庫)