[book「微睡みのセフィロト」 冲方 丁★★★

微睡みのセフィロト (徳間デュアル文庫)

微睡みのセフィロト (徳間デュアル文庫)

感応者(フォース)と感覚者(サード)との間に起きた大戦争によって暦が変わり、A.J(アフター.ジャッジメント)0017年…スイス郊外のホテルにてとある事件が起きた。
被害者は、三百億個の微細な立方体に〈混断〉(シュレッディング)された。
倒れもせず、死にもせず、室内に佇みつづける被害者…
超次元的能力をもつ感応者と人とのあいだで拡がっていく憎悪が生み出したいびつな事件だった。
かつて妻と娘を感応者によって殺害された経験を持つ捜査官パットは、本来なら敵対する立場であるはずの超感応少女ラファエルとともに、事件の真相を追い始める。
SFハードボイルド中篇。


独自の世界観があって、深いものを感じました。
これだけで長編が書けてしまいそうなほど…。
SFといっても、舞台と小道具がSF的であるというだけで、やっていることはハードボイルド。
あとがきで触れられている通り、「三行間に二百発の銃撃戦」って感じで、ひたすら撃ち(撃たれ?)まくっているという印象でした。


時にストーリーや感応者と感覚者の違いとか?細かいところがよくわからなくなって戸惑いました。
SFやファンタジーの世界に慣れていないと、ちょっとなじみにくいかな、という気はしました。
それから、人物ですがパットはともかく、ラファエルにもうちょっと魅力があったらなあ、と思いました。
文章はうまくて読みやすいだけに、もうちょっと人物に感情移入できたなら、もっと…とちょっと残念。


私にはやっぱりファンタジー的要素のある作品のほうが合っているのかな?と思い、次は「カルドセプト創伝」を読む予定です。