「カルドセプト創伝 ストーム・ブリング・ワールド 1 星の降る都市」冲方 丁★★★★



「人気ゲーム『カルドセプト』の世界観に着想を得た傑作ファンタジー」その第一巻です。
でもゲームのことは全然知らなくても十分、楽しめました。
いわゆるゲームのノベライズというのとはちょっと違っていて、ちゃんと小説として成立していましたし、それより何より読ませます!

カルドセプト〈創造の書〉。創造の女神カルドラによって書かれ、そこに書かれたとおり地上の世界が創り出されたのだという。
が、あるとき叛逆神がそのカルドセプトを使って、自分の思い通りの世界を創り出そうとした。
叛逆神と女神との間に戦いがおき、そのあげくに創造の書はばらばらになって地上の世界に降り注いだ。
そのカルドセプトの断片が、地上の人々の手に渡り、〈神の石版〉カルドと呼ばれる。人は神の道具を駆使し、望みどおりの世界を創りだす力が手に入ると信じ、〈駆使者〉セプターとなって力を行使するのだった。


偉大な〈駆使者〉セプターであった父に憧れ、あとを継ぐことを夢見た少女アーティもそのひとり。
自らのうちに不安をかかえながらもセプター候補となって神殿に学ぶ少女だったが、その彼女のもとへある少年がやってくる。どこかとぼけた表情の、リェロンという少年は、かつて〈黒のセプター〉に国を滅ぼされた少年。父も姉も失って、孤高のうちにカルドの力を手にしたいと望み、〈サダルメリク〉という組織に入って修練のすえ力を獲得していた。
その彼に今回下った命令が、このアーティという少女を守ること、という命令だったのだ。
任務を遂行すべく、アーティに接触し、張り付くように少女を警護しようとするのだが…


1巻は学園もののような軽いノリで展開していきます。
時に笑えることもあり、真剣に考えさせられることもあり。
楽しく読めます。
リェロンのキャラがかなり面白いです。アーティとのぼけと突っ込みみたいな、やりとりは読んでいて楽しいですね。


カルドという石のカードみたいなのを開いて、魔物やなんかを呼び出して闘わせるのですが、そういうところがちょっとゲームっぽいかな、と感じました。
本格ファンタジー好きとしては物足りない部分はあったけれど、軽くて、ちょっと時間のあいた時などに読むには最適な内容だと思います。