「白蛇島」三浦しをん★★★★


白蛇島

白蛇島


しをんさんの小説、初めての読書でした。
当然のことながら、エッセイとはまた違った顔を見ることができて満足、満足でした。


拝島(おがみじま)という故郷の島へ帰省してきた悟史と、その幼なじみであり、持念兄弟でもあるという光市の、冒険物語と言えるでしょう。
ですが、ミステリー、ファンタジー、ホラーの要素をも合わせ持っていて、楽しめました。


むかし、島に巣くっていた魔物を退治に、白蛇さまという神様がやってきてくれて、島は救われて、白蛇さまと島の娘が結ばれて生まれてきたのが、島の「奥」集落の中心、荒垣神社の宮司の家系だという…
その子孫、宮司の息子で次男である神宮荒太は本来ならば、長男以外の兄弟は島に残ってはならないとする掟のために、島外にいるはずだった。が、成人してからも荒太は何故か、神社の離れに住まわされていて…
それがどうしてだったのか。悟史と光市が関わってくるうちに明らかになっていきます。


それに加えて、十三年ぶりに行われるという大祭。その折を狙ったかのように、次々と現れる怪かし。島の人々が「あれ」と言って、けっしてその名前を明らかにしない、海からあがってくる怪しの存在。


とこう、書いているだけでわくわくしてきます。
何か、他にも似たような話があったような気はするけど…小野さんとか?…でも好きだからいいんです。こういう話…。


持念兄弟という観念もまた面白い。最初はちょっと違った意味での想像をしてしまった私でしたが(^^ゞ
血を分けた兄弟よりも強い絆をもった存在。
義兄弟とはニュアンスが違うかもしれませんが、心と心がつながりあった関係、なのでしょうか。


最後の悟史の言葉、たとえいっしょにいなくても同じだ、というところ。離れていても思いがつながっている、というの。心はいっしょ、ってこと?ちょっとじーんときますね。


あと途中で、悟史が時々、光市と同じことを考えてしまったりすると、やっぱり持念兄弟だな、と赤面してしまうところなど。うふふ…とまた脳内で妄想してしまいました。
荒太と犬丸の関係もそう。
ちょっと妖しげですよね(笑)。離れに住んでるとことか?


それと漫画好きなしをんさんだから、でしょうか。ふたりの漫画家のことを読んでいてちらほら思い出しました。
樹なつみ今市子。樹さんは、大祭での荒太の舞いの部分とか。今市子さんは、白蛇伝説とか物の怪が出現する部分とか…ちょっと想像しました。



*本のプロ レスより*

ときわ姫 > 私もしをんさんの小説は、これが最初でした。エッセイとのあまりの違いにちょっと驚きました。でも一度ではまってしまい、すぐ「月魚」を読みましたよ。今までしをんさんの本を読んで失望した事がないので、よほど自分に合っているのだと思います。 (2003/12/14 10:35)
あさこ > ちょこっと妖しげな雰囲気がたまりませんよねー。私もこの本、大好きです。「月魚」もこれまた、ちょっと妖しげで淫靡な雰囲気でしたよ〜。「格闘する者に○」は、全然違った雰囲気で、ギャップがおもしろいです。 (2003/12/15 00:33)
北原杏子 > ときわ姫さん、私もエッセイとはずいぶん違うもんだなーと驚きました。「月魚」は古本屋を舞台にした作品のようで、興味津々です(^^ゞ
あさこさん、そうなんですよね。ちょこっと妖しげ〜。さすがしをんさん、ですよね? 「月魚」(つきうおと読むのでしょうか?まさか、つきざかな?)「格闘するものに○」も早く読みたいです! (2003/12/15 01:17)