「ラッシュライフ」伊坂幸太郎★★★★★

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伊坂作品、2冊目です〜

まず面白かった、とひとこと。
最初はそれが何を意味するのかもわからない、様々な人びとの話が断続的に続いていて、…?って感じでしたけど、それが二章に入ってからは、もうジェットコースターに乗ったごとくの印象で。
あっという間に読み終えてしまいました。

それと何と言っても秀逸、というか驚きだったのは、エピソードのひとつひとつが必ずしも連続してないということなのですよね。
読むほうにしてみれば、それは連続した時間の流れと見るのが普通でしょうから。
その仕掛けがわかった時には、思わず最初のページに戻っていろいろ読み返してしまいました。
そこのところがいちばん新鮮な驚きでした。
これ、たぶん表にしてあらわしたらもっとわかりやすくなるんだろうな(実際、表を書き出した方もおられましたね)、
と思いつつ、無精な私のこと、そのまま最後まで突っ走ってしまいました。

分節のはじまりのところにある、それぞれのイメージ絵(?)のようなカットが可愛いいですよね〜(^^ゞ
泥棒さんは泥棒さん、信者さんは天使のマークというふうに。ちゃんと意味がある。アイディアだなあと思いました。
「オーデュポンの祈り」でも思いましたが、そういった構成のしかたとか面白いですね。伊坂さんって…
普通に、1章、2章とするんじゃなくて…、てところ。

最後の、それぞれの人が主人公になる日がある、とかいう言葉が良かったです。まさにこの三日間ほどはそうだったんですもんね。それぞれの日に、それぞれ主人公がいた…ってこと。

あと表紙にエッシャーの騙し絵が使われているけど、お話の中でも効果的に使われていましたね。
仙台駅前のエッシャー展ポスターと、展望タワーの「特別の日に」の垂れ幕…

読んでいる途中、このエッシャーの表紙の絵を何度かじっと眺めていたのですが、私も群れのなかから離れて、ひとりじっとしているふたりの人物が気になっていました。
うん、そうそうなるほどね〜て感じ。

それにしても、作中に出てくる犯罪のすべてがどこか夢のような出来事で、全然現実感がないのが不思議…
よく考えてみれば殺人を犯したり、人を撃ったり、郵便局の強盗したり(しかし、あれの顛末には笑いました。逃げていった郵便局員…そういうわけだったのね(^^ゞって)
それぞれが本当ならもっと残酷な行為であるはずなのに、それが全く感じられない。
「神を解体」するシーンなんかその最たるもの。
ほんとなら目を覆うようなコトなのに、ね。何か日曜大工でもしているのを見るような感覚。

本当なら残酷なことなのに、全然そんなことなくて、爽やかな終わり方にしてしまうのが、伊坂作品の特徴なのかしらね。なんて思いました。

そうそう。書き忘れるところだった。「オーデュポンの祈り」の伊藤のその後がちらりと書かれていたのがやはり嬉しかったです。


*本のプロ レスより*

ときわ姫 > 私も、この話が今のところ伊坂作品の中で一番好きです。それぞれの人たちの話が、どれもおもしろくて、それがぴたっとはまって一つの話になる。すごい構成力ですね。 (2004/01/17 10:05)
莉子 > 図書館で『重力ピエロ』とこの『ラッシュライフ』を借りて来ています。杏子さんの日記を見て、読むのが楽しみになりました(*^-^*) (2004/01/18 01:01)
ココ > この本の構成の真実がわかったとき、すごーい!何なに?と興奮しました(笑)。仰るように、残酷なシーンが残酷に感じられない良さみたいなものは私も感じました。伊坂さんならではの文章ですね。 (2004/01/18 11:30)
北原杏子 > ときわ姫さん、私はまだ2作目なのでまだわかりませんが、はっきりと前作とは違った手ごたえを受けました。もちろん前作も良かったけど、これにはまいった!!ということですが。
莉子さん、「重力ピエロ」は年末、何をトチ狂ったのか?購入してしまったのですが、図書館本の波が襲ってきてて全然、取り掛かれません。読めるのはいつのことになるのでしょうか(^^;?
ココさん、私も大興奮でした!!(笑)思わず、わかったときにはえ?と思いましたもんね。伊坂さん、また読みたいです〜!! (2004/01/19 00:51)