「グロテスク」桐野夏生★★★★

グロテスク

グロテスク


壮絶なまでにすごい物語に圧倒されるばかりでした。冒頭から何これ?っていう感じで惹きこまれどおしでした。とくにユリコと「わたし」と和恵が出てくるQ女子高の場面など。こんな学校実際にあったら怖い、と思いつつもぐんぐん読み進めていました。ほんと止められなくて、夕食の煮物作りながら座り込んで読み耽っていたんですよ。


ただ後半部分は哀れだった。…というより、あまりに浅はかな和恵の姿に嫌気がさしていました。会社であんなことして(例:会議室の机の上で大の字になって昼寝とか)よく今までクビにならないもんだ、と思いました。
本人は自分が綺麗で、頭が良くて…と思い込んでいるけれど、それは全くの妄想にすぎず、周囲のまともな目からみればそれは「お化けさん」でしかないというのが哀れでした。だんだん頭がおかしくなっていくのか、昼の自分と夜の自分がごっちゃになっていく部分が何か怖かった。


「わたし」は自分では一番常識をもったまともな人間だと言っているけれど、本当は違う。歪んだ考えで物を考えているから見えるものもまたそういうふうにしかならない。美しい妹に対するコンプレックスにがんじがらめになっていて、それから逃れられないでいる。そういう醜い姿もまた哀れ…なのかもしれません。
最後はあんなことになっちゃってるけど。
まるで和恵を真似するみたいなことして。どうもいまいち納得のいく終わり方じゃないなぁと思ってしまいました。
どうせならユリコから解き放たれていって欲しかったのに。最後まで…なんですね。


彼女らはそうやって「怪物」となって、滑稽でグロテスクな姿を社会にさらしながら生きていくしかないのかな?とちょっと寂しかったです。


*本のプロ レスより*

みか > 私は桐野さん好きで結構読んでます。でもこの本は読んでないので今度読んでみたいと思います。ご飯作りながら本読んじゃうと危険ですよね。私はたまに失敗してこがしちゃったりします。 (2004/01/25 01:39)
ハイジ > 私は、新刊で出た日に買って読み始めたんですけど、途中で断念しちゃって…なんか、自分のコンプレックスを、普段は忘れたふりしている自分のグロテスクな部分を突きつけられたようなきがして、滅入ってしまって・・・いつか、自分が和恵になってしまうような、恐怖。いつか、続きを読もうと思っているのですが。うちの母は、ご飯も作らず読んでました。 (2004/01/25 04:03)
あしか > きのう図書館からやっときました。半年くらい待った気がします・・。 (2004/01/25 13:12)
ココ > 前半のまま進めば間違いなく★5つだったと思っています。やはり後半、そしてラストは首を傾げますよね。でも本当に生々しくて怖くて、嫌なんだけど読まずにはいられないすごい話でした。 (2004/01/25 14:54)
青子 > 北原杏子さん、すごそーですね。ちょっと興味のある本ですが、なんだか苦手っぽいので敬遠してるんですが、図書館で見つけたら読んでみるかも…。でも、かなり予約が入ってそうでいつになるやらです。 (2004/01/25 19:37)
北原杏子 > わあたくさんのレス! ありがとうございます。
桐野さん人気あるんですね。びっくりしました。

みかさん、私は今回初めて読みましたが、とても面白かったです。ご飯作りながらの読書は、煮物とかカレーとかシチューとか、待ち時間の生じる料理がベストかと思われます。ホントは待っている間にやれることはあるのかもしれませんがね〜つい読んじゃうんです。悪癖でしょうか?
ハイジさん、途中で断念されたんですか。ご自分でお買いになったのなら、読まなくちゃもったいないような気もしますが。私も自分のコンプレックスを刺激されるところ、ありました。どっちかっていうと「わたし」よりかも?なんてね。それにしても、ご飯も作らず読んでいたお母様、何かよいですね。
あしかさん、そんなに待たれるほど人気作だったんですね!初めて知った私です(^^ゞ あしかさんの感想も楽しみにしてます。
ココさん、そうですよね。私も前半部分のが面白かった気がしています。後半は勢いがそがれてしまったような… 和恵はほんとに痛々しかったですね。
青子さん、ぜひ読んでみてください。私は全然知らなくって、本プロの感想を読んで図書館に予約入れたらすぐに来ちゃいまして〜 あまり深く考えもせずに予約しちゃって、来たのをみたら予想に反して分厚い上にニ段組の本だったので、あららどうしましょーてなもんだったのですが…(^^;
読み始めたら、もうすとーんとハマりこんでしまいました。
青子さんも早く読めるといいですね。 (2004/01/27 00:28)