読了本
- 作者: セリアリーズ,Celia Rees,亀井よし子
- 出版社/メーカー: 理論社
- 発売日: 2005/04
- メディア: 単行本
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やっと読めました。
あいだにいろいろ別のこと(創作という名の、脳内妄想?を文章にする作業!)やっていたために、こんなに読み終わるのが遅くなってしまいました。
内容は、タイトルからも想像つくように、女海賊になってしまった少女の物語です。
イギリス、ブリストルの商人の娘ナンシーの人生が、ある嵐をきっかけに思いがけぬ方向へ転がっていく・・・という話…。
ジャマイカの、父の大農園でむかえた16の誕生日に、ナンシーは父の遺言で、知らぬ間に婚約させられたことを知る。
その相手というのが、かつて海賊稼業で財をなした大農園主バルトロメ。当然、ナンシーよりも何歳もずっと年上で、しかも血も涙もない冷酷な男。どうしてこんな男との婚約を決めたのか、というと、ナンシーの父親の船が嵐で沈み、大損害を受け、それがもとの大破産を穴埋めするために、だったのです。
そのナンシーには、幼なじみのウィリアムという将来を誓い合った恋人がいました。ウィリアムは父親から騙されて、奴隷船に乗り込まされ、苦労してもどってきて、ナンシーと再会。その時に気持が通じ合って、将来を…という展開になったのですが、ナンシーの相手として認められようと海軍に入って、もっと上の地位をめざそうとナンシーのもとを去っていくんです。
そのとき起こった嵐というのが、ナンシーの運命を狂わせたあの嵐だったのでした。
ジャマイカの農園で初めて会った邪悪な男バルトロメ。
それを象徴するのが、誕生日に贈られた血のように赤いルビーのネックレスとイヤリングでした。それは、まるで海賊の冒険譚に出てくるような、呪われた邪悪な宝石のように、後々までたたってきます。
自分を裏切って逃げていったナンシーを地の果てまで・・・、大海原を越え、追いつめていくのです。
これもナンシーが、もったいないから、という心を起こしてついこのルビーのネックレスを持っていってしまったがためでした。追っ手を逃れ、海へ・・・男装して海賊船に乗り込んで、船出したナンシー。
ここからが、冒険の始まりでした。海賊船としての襲撃、大嵐、海軍とのいざこざ等など。
夢は宝石や金塊など、財宝をもとめ、大海原を駆け抜ける帆船。・・・浪漫ですねぇ。
そして・・・ ナンシーと運命をともにした少女ミネルヴァ。
彼女は、ジャマイカの農園で、ナンシーの奴隷として仕えていたのですが、この少女は魅力がありました。
肌が黒く、おまけに奴隷という身分の彼女は、ナンシーと出会うまえは、酷い生活を強いられていたのです。
同じ人間とは思われていなかった、差別の数々・・・
でもナンシーと逃げることで、ミネルヴァは自由を得るわけです。
この二人とは、互いに心ひかれ、次第になくてはならぬ存在となっていきます。
ナンシーとともに海賊として海へでてからも、立派に海賊稼業をこなすミネルヴァ。
男のかっこうをして、自由に生き生きと動き回る。ナンシーよりもずっと順応が早く、動作もすばしこくて、帆桁の上など高所での作業を軽々とこなしてしまうほど。
それに比べてナンシーは美しいんだろうけれど、どうしても地味な印象をうけてしまいました。一人称で語り手として出ている(物語を叙述している、という設定)せいもあったかも。
でもこの二人が男装して港の居酒屋へ繰り出した時には、いかにも海賊然の、伊達男のなりをしてて魅力的でした。
絹のシャツやベルベットの胴着、サテンの半ズボン等など・・・ シャツにはレース飾りがついていたり、髪はスカーフで結んだりと、ビジュアル的に綺麗。
つい、少女漫画的なものを想像してしまった私でした。宝塚か、少女漫画か?てな感じです。
海賊船というのも、いろいろあって面白かったです。海洋冒険譚って好きなんです。海軍に出くわし、つかまりかけてしまうシーンなどはわくわくしました。将校となったウィリアムが登場したりしてね。
運命が一転して女海賊になって、愛する人と別れ別れになってしまう、とか
ともに海賊になった少女ミネルヴァとの間柄(親友以上の?)とか、
ちょっと見ただけで、わくわくどきどきを期待していました。
その期待は裏切られないものではありましたが、
わくわくは、まぁまぁあったと思うけど、惜しいのはどきどき感が、ちょっと足りなかったかな?ってことですね。
話的には、十分おもしろいんですが。
主人公ナンシーとウィリアムの関係とか、
ミネルヴァと航海士ヴィンセントとの関係とか、・・・。
もうちょっとどきどき感が欲しかったような気もしますが。
これはまぁ私のわがままでしょう。
ナンシーが夢で、追いかけてくるバルトロメの黒船を見るところ・・・・、執念深く残忍な男バルトロメを印象づけていました。
べつに魔法とかそんなんじゃないのに、ルビーのネックレスを持ってるせいでずっとしつこく追い回されてしまうという・・・因縁というか呪いというか、暗い情念のようなものを感じてしまってちょっと怖かったです。
そのわりに最後があっけなかったですけどね。私としては、冷酷で残忍でも、もうちょっと骨があってほしかった気がしました。おじさんだったしね。ただの執念男でした。
魅力ないない!!
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- 作者: 石川雅之
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2005/05/23
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