さよならワルガキング


さよならワルガキング

さよならワルガキング


これは低学年向けの作品ですが、短いなかにも笹生さんらしさを見てとることができました。


「おかんのさいふに手をつけた。」で、はじまる文章は、初期の作品っぽくて初々しい感じ。「ぼくらのサイテーの夏」に近いものがあると思いました。


ストーリーは単純明快なものです。
勉強が嫌いで落ちこぼれ気味な主人公森和哉くんと、病がちでいつもマスクをはずせない橋本くんの出会いと別れ。
ワルガキになりたい橋本くんの思いは何となくわかる気がします。
どんな悪いことでもやってみないとわからないから。
いいことでも悪いことでも自分で経験してみてそれから判断したい、という気持ちがいいと思います。


奇しくもここにもトレーディングカードというのがでてきます。
最後にそれを森くんがどうしたか… その決断はよかったですね。


海へ行きたいと言っていた橋本くん、また療養所にもどることになって…お別れの記念品にもっていこうと思ったのに…急いで走って…砕け散ってしまったガラス瓶。
でも・・・残っていたものはあったんです。それは確かに橋本君にも伝わったでしょう。


当たり前のことをごく自然に、さらりと書いている笹生さん、さすがですね。
挿し絵の方もちょっとマンガチックですが、かわいらしい感じがして、雰囲気でていました。