オトナとコドモ


ラインの虜囚 (ミステリーランド)

ラインの虜囚 (ミステリーランド)


田中さんの本はずいぶん久しぶりに読みました。これがミステリーランドに入らなければたぶん読まなかっただろうと思います。


子ども向けに、わかりやすく噛み砕いた話という感じでした。歴史の勉強にもなるし。出てくる登場人物はみな実在の人物ですし。私はアレクサンドル・デュマくらいしか気づきませんでした。
ナポレオンのことも勉強になりました。こういうの読んで、歴史に興味をもつ子どもたちが増えてくれたらよいですね。
実在の人物を扱うというのは、こういう利点がありますね。
歴史がひろがる、というか、歴史のなかの個人とか、そういう視点が得られてよいんじゃないかな。


少女コリンヌをかこむ3人の人物がいい味だしてます。剣士モントラッシュ、海賊王ラフィット、天才作家アレクと、まるで三銃士を連想させるものがありました。
鉄仮面も出てきたし。


歴史への興味とともに、そうした文学作品に関する興味もかきたててくれるでしょう。田中さんの意図もそこにあったんでしょうけど。
私も子どもの頃に読み損ねた本がいっぱいあったので、いつか自分の子どもといっしょに読むというのもよいかもしれません。


難点はコリンヌ… もうちょっと活躍してくれればよかったのに。それと、やはり子ども向けに書かれたもののせいか、大人にはちょっと物足りない部分もありました。
悪くはないけれど・・・何かが足りないそんな感じでした。


つまり私にとってこの本は、いろいろ勉強になるところはいいけれども、話としてはいまいち興味が持続しない本でした。
ただ、田中さんが意図した、子どもをあまり登場させないで子どもの本を書く、という試みは成功しているように思えました。強くてかっこいい大人とそれに憧れる子ども、という図式。まっとうな児童書という感じをうけました。