あめふらし、グリム童話より

あめふらし (絵本グリムの森)

あめふらし (絵本グリムの森)


出久根育さんの絵でグリム童話の世界を描いた作品です。
ブラティスラヴァ世界絵本原画展」グランプリ受賞作、だそうです。
それだけで何かすごい!と思ってしまいますが、絵本を開いてみればもっとすごい!、この作品だからこそ受賞できたんだろうなぁって思えてきます。


グリム童話にこんな話があったとは知りませんでした。調べたら、あまり有名どころの部類には入らないみたい。
岩波の完訳集に収録されているのを見つけただけでした。


気位が高くて高慢ちきな王女さまが、お婿さま選びすることになり、塔のてっぺんに作らせた十二の窓から王女さまに見つからずに隠れられたら合格、失敗したら即つかまって首を切られるという残酷な話。


ある三兄弟がこれに挑戦することになって兄たちは次々失敗してしまったのに、弟は命を救ってやった動物にたすけられ・・・・という話です。
これと似たような話はどこかにあったような気がします。


この話を、出久根さんのちょっと不気味で怖い、けれど独特の味わいのあるイラストが添えられるとどうなるか?
結果はこれは子どものための童話絵本じゃない、大人が読むものだ、ってことになります。


私はけっこう好きですけど、評価の分かれるところなのかもしれません。この人の美術展とかあったらぜひ行ってみたいです。なかなか地方にはこないかもしれませんが、機会があったら・・・


最後に、あめふらしって、何かな?と疑問でした。絵本を読んだらわかるかも、と思ったけどよくわからず、電子事典で調べたら、一種の巻貝みたいな生物なんですってね。
ただし貝殻は退化してしまったみたいですけど。ナメクジみたいなの?
そういえば絵本の最後にちらっとナメクジのようなものがありました。


文章にはあまり添っていなくて、絵本というよりも一個の芸術作品のようでした。