絵本6冊その4 「はだかのサイ」

はだかのサイ (大型絵本)
作者: 矢川澄子, ミヒャエル・エンデ, マンフレート・シュリューター
出版社/メーカー: 岩波書店
発売日: 1988/10
メディア: 大型本


ひとをみたら泥棒と思え、それがサイのノルベルトの口癖でした。
アフリカの大草原のどまんなか、泥沼のほとりに住んでいるこのサイは、疑り深く決してほかの動物たちに心をひらくことがありませんでした。
サイの周囲の動物たちは小さいものも大きいものもみな、顔をあわせるのをいやがり、ノルベルトと些細なことでけんかになる。


あるとき、とうとう動物会議がひらかれることになりました。
いろんな意見がでたけれど、どれにも難点があって実行にうつせません。
そしてとうとう動物たちは逃げ出して、べつの土地にうつりすむことになったのでした。
たったひとり、ウジクイのカールヘンをのぞいて。
カールヘンはノルベルトにある提案をします。
支配者や征服者にぜったいにかかせないもの、銅像をつくってはどうかい?と。


そこでノルベルトは自分の銅像をつくることにしたのでしたが・・・

最後にノルベルトがいったいどうなったのか? それは実際、絵本を読んでもらうことにして。
まわりのもの全員を敵視して、自分だけ支配者然としていばっていたサイがどうなったのか?
これはサイとして描かれてはいるけれど、人間にもあてはまるものです。
というより擬人化した動物ということで、主眼はそこにあるのでしょうけど。
自分の着ているヨロイを過信したあまりにきたした運命。
戒めとして受けとるもよし、ユーモラスで皮肉な話を受けとめるのもよいでしょう。


文章はやさしく読みやすいので、小学校高学年の子なら読めるかな。
イラストもわかりやすい、はっきりとした絵ですから。
残念ながら、いまは品切れになっているみたいですが。こういう絵本はのこしておいてほしいものです。