絵本6冊その5 「漁師とおかみさん」

漁師とおかみさん
作者: ヤーコプ・ルートビッヒ・グリム, ビルヘルム・カール・グリム,
   モニカ・レイムグルーバー
出版社/メーカー: ほるぷ出版
発売日: 1985/01
メディア: 大型本


モニカ・レイムグルーバーの絵本をみてみたくて、図書館で借りました。
その一冊。グリム童話のひとつです。
私はこれを読んでいたかな?とうろ覚えですが、何となく筋のながれに覚えがあるような気もします。


ようは、欲の皮がつっぱった人間の結末はろくなことにならない、ってことでしょうか。
あるとき漁師が、言葉を話せるかれいを釣りあげて、漁師はすぐに逃がしてやったのに、強欲なおかみさんは、どうせなら願い事をしておいでよ、といってもう一回海へ亭主を追いやります。


そうしておかみさんは、かれいに願いごとを叶えてもらうのですが、最初はささやかな願いだったのが、だんだん強欲になってきて。
とうとう、最後にはとんでもない大それた望みを抱くようになってしまうのでした。


結果は元の木阿弥。またまた貧乏暮らしに逆戻り。
人間の欲望には限りがないって感じで、もうどうしようもないなあ! そしてどうにも皮肉な結末です。


モニカ・レイムグルーバーの緻密な絵が、物語をもりあげます。
かれいが顔を出した海の変化がいい。最初は透明だった海が、だんだんお話がすすむたびに、透明度をうしないしだいに黒く、暗くなっていく・・・
物語の結末を暗示しているようです。
最後にでてきた、真っ黒な海のなかからとびだした、かれいのまんまるに見開かれた目!
大それた望みをいだいた人間に対する怒りがみえるよう。
怖い、でもひきこまれて見つめてしまう。すごい迫力です。


この絵本も品切れになっているようで、残念。
引き続き、他の絵本も見てみたいです。