マーリン5 失われた翼の秘密


失われた翼の秘密 (マーリン 5)

失われた翼の秘密 (マーリン 5)

やっと五部作のシリーズ、最終巻を読みました。これは、ちょっと苦戦しました。読もうとするんですが、いつの間にか思考がべつの方向にすべりだしていってしまうんです。
う〜ん・・・おもしろいかっていえば、おもしろいのかもしれないけれど、いまいちのれませんでした。で、分厚いんですよね。500ページ近い・・・本を持つ手が震えます。

ついに物語も大詰め。ある日、マーリンのもとにダグダ神があらわれて、フィンカイラに迫った危機を告げる。
ついに黄泉の国からリタガウルの軍勢が攻め込んでくるというのです。それは冬至の夜のこと。それまでにフィンカイラの住人すべてを集め、最後の決戦に臨むように、と。
冬至の夜までにはもう間がないので、マーリンはリア、ハーリアそれぞれに、援軍を集めてくれるように頼む。自分は、といえば、その頃、突然マーリンに決闘を迫り、あらわれた男、二本の腕の代わりに剣が生えている、死神の面をつけた謎の男に対抗するためにひとり旅にでる。
この謎の男は、次々にあちこちの村にいるみなしごの子どもたちに襲いかかり、惨い殺人をくりかえしているという。
マーリンは自らの影に命じ、巨人のシムにフィンカイラ中の親のいない子どもたちを集めてくれるように頼みます。
そうして、マーリンと子どもたちが向かった先は・・・

という内容なのですが。
このあらすじを読んでもらえばわかると思いますが、マーリンって何か人頼みしすぎてない?ってところです。
まぁ自分は正体のわからない殺人鬼に負われていたのでしょうがないといえばそうなんだけど、マーリンがいろいろやってたあいだ、他の人たち(ハーリアやリアたち)はいったいどういうふうに援軍を集めてたんだろう、という疑問がわいてきます。

マーリンの視点で話がうごいていくので仕方ないことなのですが、他の状況が全くわからないのでちょっとつまらなかったな、と思いました。
これが一人称の物語の欠点ですね。主人公がいない場所については語れない、というの・・・
だからもうちょっと工夫が必要だったのでは?なんて思いました。何か、夢でも幻でもいいから、ちらっとでも見せるとかね。

それとあまり人に頼みすぎるというのもね。他力本願のような気がして、何だかなあという気もします。
これは前から感じていたことだけど、主人公に危機が訪れると、さっと他から救いの手がさしのべられ、比較的ちゃっちゃと物事が片付いていってしまいます。
もうちょっともがき苦しむ姿とかあってもいいじゃないの?などと思いました。

リアは木たちに、ハーリアは竜のグウィニアに助けをもとめにいったわけですが、いったいどんなふうに?という疑問が残ってしまいます。
巨人のシムにしても、確執がありそうなドワーフのところへ行ったのに、どうなったのか?と思えば、拍子抜けするような結果になってたし。ウルナルダ婆さん(っていったら怒られる?)、あんなに簡単に許してもいいの?(笑)

そして、死神の仮面をつけた謎の男の正体・・・むーすっかり忘れていましたよ〜。忘れたころに登場、ですか。
私はまた違うことを予想していたんで、ちょっとあらら?でした。

それとタイトルになってる「失われた翼の秘密」。
もうちょっとひっぱるかと思ったのに、あっさり1章で片付けてしまいましたね。まあ秘密といっても、あっと驚くっていうわけでもなく、予想の範囲内でした。よくありそうな話。

で、最後の最後。フィンカイラって、私はまたそのものズバリ、○○○○ンだと思っていたのに、そうじゃなかったんですね。これだけはふ〜ん、て感じでした。そこがそうなるのね…
だけど、お願いだから、表記を「バ」じゃなくって、「ヴァ」にして欲しい!
イシュトヴァーンがイシュトバーンじゃないっていうのと同義ですよ。

と脱線してしまいましたが。
前にも書いたと思いますが、この話はまっさらな子ども(もしくはファンタジー初心者)が読んだらけっこう楽しめるかもしれないけれど・・・・って印象の物語でした。
5冊読んで、最終的な感想がこれ、とは情けないけれど。
途中の巻で、いいかも、とは思いはしたものの、それ以上うえにいくことはなかったみたい。
とりあえず、何とな〜く最後までおつきあいしてしまいました、って感じですね。

この話は一応、これで終わっていますが、べつの主人公でまた新たな物語が始まっているそうです。すでに2巻までできていて、三部作といってはいるけど、マーリンの話も最初は似たようなコト言ってたから、どうなるかわからない、ってことでした。

例のア○○○ンを舞台にしたシリーズらしいです。(私的には、「バ」じゃなくって「ヴァ」にして欲しいってやつね)
でももしもこれがいつか翻訳されても、私は読むかどうか〜?です。もっと他に読みたい本がいっぱいあるんですから。どっちでもいい本に貴重な時間を使うべきでないと気づきました。遅きに失しましたけどね…。
まぁ子どもたちが読むには適当かと思いますので、その向きにはおすすめしてもよいかもしれません。