渡辺絵美「愛するスケートに何が起こったのか?」

愛するスケートに何が起こったのか?―女子フィギュア・トリノ選考の真実

愛するスケートに何が起こったのか?―女子フィギュア・トリノ選考の真実

トリノ五輪で世間が騒いでいた頃に、この本のことを知ってちょっと興味を持っていたのですが… 今ごろになって(?)図書館にリクエストしたものが手許に届きました。
なので、いささか時期を逸しているようにも思えますが、とりあえず読んでみました。

その結果・・・残念ながら、私が思っていたものとは相当違っていました。何だか肩透かしをくらった気分です。

著者の言っていることにはわかる部分もあるのですが、その根拠としているものがいまいち信用がおけない感じがしてしまって。何となくうそ臭いような印象をうけました。
[女子フィギュア・トリノ選考の真実]などという副題がかかげられていますが、「真実」と言い切ってしまうほどの根拠って、いったいあったんだろうか?と思ってしまいます。

選考の基準の不透明さ、というのはやっぱり、素人目にもどうして?という疑問もなきにしもあらず、だったのですが。まあこれは今となっては、言ってもせん無いことです。全て終わって結果がでていることなのですから。みんなそれぞれ頑張ったんだから、よいじゃん!という感じですね。(順位のことは別にしても)

日本スケート連盟に対する反感のようなものが、文章のあちこちから遠慮なくにおってきて、正直いい気分ではありませんでした。著者本人の個人的恨みを書いているような気もしました。文章自体も喋り言葉に近いもので、ちょっと鼻につきました。

それでも、過去のスケート界で活躍した選手のことが書かれてあった部分は少しは読めました。トーニャ・ハーディングナンシー・ケリガンの事件のこととか、いつになっても金がとれないミシェル・クワンのこととか。ほかタラ・ルピンスキー、サラ・ヒューズとか有名選手の名前が出てきました。ま、裏話的なものですね。そういうのに興味があるかたは面白いかもしれません。

また著者の活躍していた時代に出ていた選手の名前はほとんど知らないことが多かったので、へぇ〜そんな人がいたんだ、とは思いました。

浅田選手のことにも触れていて、かなりページを割いて書かれていました。私も真央ちゃんをトリノで見たかった気もするけれど、結果としてそれほど期待していなかった(といっては失礼ですが、正直これほどとは思わなかったのです)荒川静香選手が金メダルをとってしまったんですから。浅田選手を出さなかったために、金メダルのチャンスをひとつ逃した日本、とかいう指摘は、今となってはすっかり的外れになってしまいましたね。

これはオリンピック前に読むべき本でした。ということは、それっきりのもので、今後読まれていく価値はあまりないんじゃないでしょうかね。全体にワイドショー的な、“おばさんの井戸端会議”ふうな雰囲気があって、あまり好きになれませんでした。こんな本を図書館にリクエストしてしまって、ちょっと悪かったかな、という気がしたほどでしたから。