茅田砂胡「大鷲の誓い デルフィニア戦記外伝」
大鷲の誓い デルフィニア外伝 (C・NOVELS Fantasia)
- 作者: 茅田砂胡,沖麻実也
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2006/03/24
- メディア: 新書
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大華三国の一角、デルフィニア。かの地にふたりの若者がいた。ひとりは王国を代表する大貴族の才気煥発な12歳の嫡子。もうひとりは天才的な腕を持つ17歳の剣士。国王崩御の混乱の陰で彼らは戦う。未来を掴むそのために…。
デルフィニア戦記外伝です。もう!めちゃ懐かしかったです!! 表紙の沖さんのイラストを見てるだけで幸せな気分にひたれます。
でもリィは出てきません。ウォルもちょこっと出てきただけで… メインは、ナシアスとバルロの2人。ナシアスが17歳、バルロが12歳、2人の出会いから、それぞれ騎士として叙勲をうけ、ティレドン騎士団、ラモナ騎士団の団長になるまで〜が描かれてます。
タイトルには「大鷲」がついていますが、メインの視点になっているのはむしろナシアス。言うなれば「白百合」になるのでしょうが。けれど「大鷲の誓い」をするのは、文字通りバルロ…。ナシアスの目から見たバルロは、とんでもなく若くかわいらしくて、思わず微笑んでしまう。描かれたエピソードすべてにおいて、そうなんです。
とくにパラストでの一件は…。猪突猛進のバルロ、沈着冷静なナシアス、と2人それぞれ。恥知らず(!)なナシアスの一端を見る思い、でした。もう、あれには参りました。「臨機応変」でも「変わり身が早い」んでもなく、「なりふり構わず」のナシアス。
だけど、そのあとバルロはあの誓いを立てるわけで。誰にも聞かれることのない、自分だけの誓い…。バルロのなかでどんなにナシアスの存在が大きいか、わかるってもんです。
とか、そんなことを知られるくらいなら…なバルロなんでしょうけど。後年の彼と違った面を見れたのが、この外伝のいちばんの成果かな。
他の懐かしい面々も出てきましたしね。ガレアスやアスティン(とかいいつつ、印象が薄いんですけど、アスティンって)等など。
おまけで、デル戦本編終了の数年後、なんてのも書かれてます。あちこちに小ちゃい子どもたちが増えてて…デルフィニアの未来も安泰、なのかなあ?と嬉しく思いました。
ブライス少年の存在も唖然。父上の驚きも相当だったでしょうが(笑)。これから彼らはどうなるのかな?と、すでに終わった物語にも関わらず、また未練が出てきてしまいました。
ウォルの気になるセリフなんてのもあったしね。ほんと実現するといいですね。どんな形になっても…。
外伝2、あるといいなあ!