「彩雲国物語 漆黒の月の宴」雪乃紗衣

シリーズ5冊目です。


これは前の巻の話の続き、です。王命をうけて茶州の州牧となった秀麗と影月。州都・琥蓀(これん)入りをめざしていた。指定期限内に正式に着任できないと、その地位を剥奪されてしまう、というので急いでいたわけですが。
それを快く思わない者たち(茶家の人間)によって、妨害工作をうけ・・・それでもめげずに頑張っていると、横からまたかの危険男、茶朔洵が再登場!!

という話・・・

正直とても面白かったです。ストーリーも、出てくるキャラの濃さにも。満足しました。


朔洵の人間性にも・・・最初は何を考えてるんだ!?と、不可解でしたが、それでもラスト近くの章になると、何か熱いものがこみあげてきそうでした。

秀麗が甘露茶を彼のために淹れてあげなかったこと・・・
べつに淹れてやればいいじゃん、と思ってしまいましたが。
でもそうしないことが、朔洵にとっては重要なことだったのですね。あとからわかりました。


そしてあの最後。それ以来、話はべつの方に流れていって、それっきりふれられていなかったのでわからなかったのですが。彼はどうなってしまったんでしょう?いっけん、○○だと思わせて???いやいや、そんなことはないでしょうね。はっきり書いてあったもの。

それに横から話しかけてきたアレは何だったの?など疑問が残ります。
これも何かの伏線になるのかな?わかりませんが…。


朔洵の描写を、劉輝の描写と故意にあわせてあるところ。なかなか心憎い演出ですね。そこらあたりで、読者はウッとなるのでしょう。

全てを持てる者と、持たざる者との違い、なのでしょうか。多くのものを持っていそうにみえて、結局、何ひとつ持っていなかったことに気づいたときの寂しさ、虚しさ。
もっと違うように生きてみたかった、という思い。

そういうのをみると、ちょっとせつなくなりますね。



あと彼ら兄弟の叔父さん(?)鴛洵の奥さん、英姫さん。すごいですねぇ。インパクトありました。彼女の過去も、垣間見えましたが、烈しく生きた、という感じでしょうか。


あといろいろ、プチカップルが誕生しそうですね。影月&香鈴。栗饅頭のシーンが、かっわいい!という感じですが。香鈴はおしかけ女房になりそうですね(笑)。

克洵&春姫。克洵という人は、もっと目立ってもよかろうもんなのに、今ひとつだったかもしれない。朔洵の影に隠れて?最後になって、ようやくイラストにも描いてもらえましたね。

彼らはまた登場することがあるのかな?あとがきにあったけど、作者は要らないとなったら、バッサバッサと切り捨てるのかもしれません(笑)。
その中でカムバックした二人組、ちょい役のはずなのに、イメージ鮮明でした。気持ちいいくらいでしたね。彼らはまた活躍しそうだな。


などなど気にかかることはいっぱいです。
何があってもくじけず、前向きに生きていく秀麗、次なる話はいったい・・・というところですね。楽しみにしてます。