「赤々煉恋」朱川湊人


赤々煉恋

赤々煉恋

私はこの本をサイン本で購入したのですが、ようやく読めました。ちょっと寝かしすぎたかもしれない…
もっと早く読めばよかった、って思います。


連作短編集です。
そのどれもが、ちょっと悲惨で、救われない話が多かった。人間の心に巣くう、欲望や妄執を、これ以上ないってほどにシビアに描いてくれました。
まさに赤裸々、といった表現がぴったりっていう感じです。


こんなことを書くと、きっと引かれると思うのですが。どうせだったら、もっと幸福な結末や、心癒される物語を読みたいと思う気持ちもよくわかります。
でも、だからといって、この本がつまらないということは決してないんです。
それどころか、私は大変面白く読ませていただきました。

どの話も、ぴたりと決まってて、そつがないという印象を強く抱きました。とにかく、話の続きが気になってしょうがないんです。この、続きを読ませてしまう力というのはすごいものだと思います。
吸引力があるのですね、朱川さんのお書きになるものって。


主題はずばり愛。五人の人間たちの愛のかたちを、それぞれに描いています。
個々の感想は、あえて書かないことにします。ちょっと背筋がぞくぞくっとしてしまうような、ホラーな作品ばかりでした。こういう雰囲気のものがお好きでない方は、受け入れがたいところがあるかもしれませんが。
もちろん私も、描かれている行為自体を肯定するわけではないですが、作品として見た場合、高い評価が得られるのではないかと、愚考するわけです。
ぐいぐいと読ませられ、この私がわずか2日弱で読了した、ということがそれを証明しているのではないかと思います。