「ビート・キッズ」風野潮

ビート・キッズ―Beat Kids (講談社文庫)

ビート・キッズ―Beat Kids (講談社文庫)

今年最後の本はこれでした。本当は続編まで読めるかと思ったんだけど、ちょっと無理でした。きっと来年最初の本がそれになるかと思われますが…


〜「ドラムの響きは、俺の心の、花火やねん!」
英二が叩く。七生が打つ。二人の大阪少年が16ビートで笑って泣かせる!〜

七生が英二をバンドに誘った、その表現がまたおもしろかった。冗談めかしてはいるけれど、天性の才能を瞬時に見抜いてたんですね七生は。

話もおもしろかったけど、何より大阪弁が効いてましたね。
ただ話すだけなのに、何故か笑ってしまいそうになる。語りは英二ということになってるので、すんなりとその心に入っていけました。


ところで、この英二って名前に惹かれてるんですけど。
児童書関係では、エイジっていう名前の少年が偶然だけど多く見かけられる気がします。

思いつくところでは、重松清さん(児童文学作家じゃないけど)の『エイジ』とか、笹生陽子さんの『ぼくは悪党になりたい』。他にもありそう〜

風野さんの描かれたエイジ(英二)少年も、ものすっごく元気で底抜けに明るくって・・・読んでいるこちらまでパワーをもらえるようでした。


その英二が後半のエピソードでは、傷ついて自分なんかいなくっても・・・という弱気なところをみせています。
どうにもこうにもならなくって。

ふらふらと出ていってたどりついた先が、七生の家がやっている楽器店だった。ぐしゃぐしゃになって泣く英二を七生が優しい顔で見守っているその光景。
そこらへん読んでたら、ちょっとこっちまでほろっときてしまいました。いい話ですねぇ〜 英二のダメダメお父ちゃんもいい味だしてました。
ほんと涙でる〜 

笑って泣いて感動の小品でした。年末によい作品と出会えました。