「蒲公英草紙 常野物語」恩田陸
- 作者: 恩田陸
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2005/06/03
- メディア: 単行本
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常野物語の第二弾。最初の『光の帝国』を読んだのは、もうずいぶん昔… 今回、これを読むにあたって、『光の帝国』を読み直そうかな、と本を開いた私でしたが… 結局、ぱらぱらと見返しただけで、すぐこっちに取り掛かりました。
こっちが先でも一向に差し支えないと思いました。
実際、『光の帝国』を読んで久しいもので… 細部を忘れているところがまた良い加減だったように感じました。
主人公、峰子と同じ目線で物語を追いかけることができました。
前作にも出てきた常野一族の人たち。彼らのこともちょっと霞がかかったような具合で、直截にひびいてこないのが違和感なかった所以なのかもしれません。
全体を眺め回してみると、一人の少女の身に起こった不思議な物語という雰囲気。その少女だった私(蜂子)が懐かしい少女時代を昔語るというもの。憧れのひと、聡子と自分とを訪れた不思議な人たち、常野一族の者たちと過ごした日々…
そして起こってしまった悲しい出来事。
それらを淡々とした語りで、あらわしています。
私はそれだけでも十分、楽しんで読むことができました。最後に起こった事は唖然、という感じでしたが。光比古さんの能力によってよみがえった記憶。あれで人々の悲しみが癒されたのでしょうか。
そうして時がながれ・・・ 現代(当時)の私に残されたものとは? この先の未来へと希望をつないでいけるのか、新しいすばらしい国が生まれるのだろうか、といった問いかけで終わっています。
少し途中半端な終わり方のようにも思えましたが、それでいいのかも…という気もします。なぜなら、この問いにかえる答えはいまだ出ていないのだと思うから、です。日本という国がこの先、どうなるのか、作者は静かに問いかけている。そんな気がしました。
常野物語の続編といいながらも、『光の帝国』とは全く別の味わいをもった作品でした。
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まゆ > 「常野」の中の、静謐で美しい部分を結晶させたような物語でした(「エンド・ゲーム」は、ダークサイドの物語)。クライマックスでは号泣してしまいました。 (2007/04/27 22:29)
北原杏子 > まゆさん、そうですね。非常にしずかな物語でした。決して派手さはないけれど、心がゆれました。「エンド・ゲーム」も次に読む予定です。 (2007/04/28 13:15)