「エンド・ゲーム」恩田陸

エンド・ゲーム 常野物語 (常野物語)

エンド・ゲーム 常野物語 (常野物語)

常野物語の『光の帝国』収録の「オセロ・ゲーム」の続編。
前作で、主人公暎子が裏返されかけたとき、救ってくれた娘、時子がメインで書かれてます。

前作では、どうして暎子には「あれ」がああいうふうに見えるのか、わからない部分もあったのですが、今回どうしてそのように見えたのか、また他の人たちはどのように見えているのか、説明がされていて、そうだったのかと初めて納得できました。

「裏返える」とはどういうことなのか、また裏返されたあとはどうなるのか、等など、そのへんに焦点をあてて書いたところはよかったと思います。
あとは時子が力にめざめ、「あれ」がそのように見えるのは、なぜかとか、それがだんだんわかっていく下りは読んでてわくわくしました。


ですが、後半、火浦という「洗濯屋」があらわれて、彼と時子がいっしょにあの不思議な、心象風景のような場所へ踏み込んでからが、ちょっとよくわからない部分が多かったように思います。

結末もいまいちピンとこなかったような。
言ってることはわかるのに、いまいち心にひびいてこなかった、ということですね。


一応、うまくまとまったようにも見えるけど、本当にあれでいいのか、っていう疑問も残りました。あれで、あの4人は幸福になれるんでしょうか。
新たなゲームプレイヤーだなんて、まるでまた別の話が始まりそうな気配じゃありませんか!

常野一族とのつながりもちょっと薄いような気がしたし。
私は前作の『蒲公英草紙』の方が良かったですね。
『光の帝国』は別格としてもね。

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まゆ > 一度読んだだけでは理解できなかった部分があったので、読み返そう・・・と思いつつ、そのままになってます。「常野」のダークサイドと私は勝手に呼んでますが・・・きれいなものだけではなく、こういうひんやりするような部分も含んでの「常野」なのだと思うのです。 (2007/05/04 18:12)
北原杏子 > まゆさん、ダークサイド「常野」ですね。私も理解できない部分ありました。読み返したらいいかもしれませんね。 (2007/05/13 01:02)