「チョコレートコスモス」恩田陸

チョコレートコスモス

チョコレートコスモス


これは全く、恩田陸版『ガラスの仮面』ですね。でも面白かったので、許します。たんなる真似じゃなかった、と思うので。
主人公なんか、まるで○○みたい〜と思ったけど。それでも読んでいて、楽しいし、徐々にひきこまれていく自分がいたから。うまいですよね。恩田陸って・・・


もう最初から最後まで、十二分に愉しんだ、って感じです。タイトルの意味も…。チョコレートコスモスという名前はどこかで目にしたことはあったけれど、それでも最後にきて、どういうふうにその名前がでてきたのか、そういうことがだんだんわかってきて。
思わず、おお!と心のなかで叫んでしまう私でした。

主人公の飛鳥が、だんだん頭角をあらわしていき、ついにオーディションの場面では、息もつかず一気に読んだという感じ。
ああいう劇のお話は、燃えますね。これは本家本元のガラ仮面でももちろんそうだったのだけど。

葉月のライバル役(?)の響子もいいキャラですね。どんどん惹きこまれていきます。彼女が最後に至った境地(世界?)、あの場面はすごいですね、電流がピリッと走った感じ?抽象的ですが…。
映像が目に浮かぶようです。ひなぎくにふれた響子の指、表情、そして彼女の髪をゆらす風と、ふりそそぐ光。
そういったものが一瞬にして、浮かび上がってきました。

登場人物たちもすごいけど、恩田陸自身もすごいです。どんどん、どんどん話に惹きこまれていって、そして最後・・・
脚本家、神谷の見つけた答え。それがすべてに結びついています。一瞬にして、物語が収束していった感じ。

あのあとも演劇にかかわる彼女らの世界はひろがっていくのでしょう、読者はそれを見届けることはできないけれど。でも、想像することはできるというわけ。神谷が原稿に書き付けた言葉、それが彼女たちの未来における可能性をあらわしていたように思えてなりません。

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まゆ > 漫画なら、表情とか動きとか、絵で表現できるじゃないですか。文字だけでそれを伝えられるってすごいことだと思うのです。プロの作家なら当たり前といっても、「欲望と〜」を何バージョンも描き、なおかつ読者を飽きさせないってすごいと思うのです。その筆力といい、イマジネーションの豊富さといい、脱帽です・・・。 (2007/05/13 21:26)
ほっそ > こんにちは。ご指摘のとおりだと思います。登場人物たちのオーデションの場面は、迫力満点です。私なんて、なんでこのタイトルなのかなあとずっと気になっていたから、最後はえ〜〜〜ここでこうくるかと・・・いろんな意味でね(*^_^*) (2007/05/14 09:38)
北原杏子 > まゆさん、そうそうそうですよね! 文章であれだけ情景をつたえるのって、すごいです。「欲望と〜」の場面だけでもうおなかいっぱい!って感じでした。素晴らしかったです。 (2007/05/14 18:00)
北原杏子 > ほっそさん、こんにちは。オーディションの場面よかったですよね。最後もびっくりです。 (2007/05/14 18:03)