「クレーン男」ライナー・チムニク

クレーン男

クレーン男

ドイツの絵本作家ライナー・チムニクの作品。
「市長と大臣と12人の市会議員たちは、貨物の積みかえ用のクレーンをすえつけることに決めた。現場で働く青い帽子に羽を1本さした若い男は、このクレーンに惚れ込んでしまい…。批評精神とユーモアにあふれた物語」

私は何となくですが、いしいしんじさんの作品を思い出しました。チムニクの作品を読むのは実は初めてなのですが。絵と文章のマッチングが心地よい雰囲気を醸し出しています。

町にすえつけられたクレーンを操作することを命じられた男は、忠実にその勤めをはたします。川が洪水になろうとも、海賊に脅されようとも。

明快単純な言動をするクレーン男ですが、その信念にはすごいものがありますね。


寓話のようなテイストもまた得がたい味わいです。
時々、挿絵にそえられた文章(これは日本語で書かれています)も、なんともいい感じです。



私はこの本を、文庫本でも持っていますが、装丁から言えばこちらの単行本をおすすめします。
茶色の、ざらざらした紙質のカバーが心地いい。本書の内容にとても合っているように思えました。