「魔使いの弟子」ジョセフ・ディレイニー

魔使いの弟子 (sogen bookland)

魔使いの弟子 (sogen bookland)

〈魔使いシリーズ〉第一弾。やっと読めました。
(ちょっと気弱な)主人公の少年トム。彼は「7番目の息子の7番目の息子」(七人兄弟の末っ子である父親の七番目の息子)だった。
このことによって、トムには普通の人には見えないものが見えたり、聞こえたりする能力が備わっている。
このためにトムは家を出て、魔使いの弟子として修行することになるのだったが・・・。

最初話が始まったときには、よくあるファンタジーかと思いました。見かけは気弱そうで全然強くなんてなさそうな主人公が実は強い力を持っていて、その力を使って魔(闇)と戦って、最後には敵の首領を倒す、という、どこかで(?)聞いたようなファンタジーです(笑)。
でも、読んでいくうちにそれは違うのだということがわかってきましたね。


たぶん、主人公の少年トムが、魔使いの師匠に女の子には注意すべし、と言われたのに、言いつけを破って、魔女のおばを持つ、少女アリスに近づいていったときから、でしょうか。

アリスに出会ったことを魔使いに話していれば、起こらなかったであろうことが起こってしまったとき。
それが、物語がどんどん変貌していく瞬間だったのかもしれません。

とんがった靴をはいたかわいい女の子アリス、魔女になるべく育ってきたというのに、何だか憎めません。
全くの悪とは思えない存在でした。


トムにもきっとそれがわかっていたんでしょうね。
ついつい約束をしてしまったりなんかして。
それが思わぬ事態を招く結果にもなったのでしたけど。

マザー・マルキンとの対決も、まぁ目が離せなかったですね。どうなるのか先が気になって、さくさく読めました。
ありきたりのようで、決してそうでないところにも魅力があったのかもしれません。